研究課題/領域番号 |
20K08280
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
鷹取 元 金沢大学, 附属病院, 准教授 (60613734)
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研究分担者 |
飯田 宗穂 金沢大学, 附属病院, 講師 (40705604)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 門脈血栓 / 肝硬変 / 腸内細菌叢 / 予後 |
研究実績の概要 |
今年度は門脈血栓症例を集積し,研究への参加の同意を得て,便資料及び血液資料を収集している.造影CTおよびドップラー超音波での画像評価,血液生化学および凝固マーカーを評価し,臨床経過を追跡調査している.門脈血栓症に対する抗凝固療法による治療効果や,再燃などの臨床経過,肝不全の進行や生命予後と細菌関連データの相関を解析する。また既存の肝硬変症例の腸内細菌叢データと比較することで、門脈血栓発生の原因としての腸内細菌叢の変化の有無を検討する。 門脈血栓症において低下する症例が多いアンチトロンビン活性と症例の予後について検討し、アンチトロンビン活性低下(55%未満)が肝不全に関わる因子であることを国内学会にて発表し、また英語論文としてacceptされた。 Child-Pugh分類のAおよびBの肝硬変に合併した門脈血栓症に対する経口抗凝固薬(DOAC)であるエドキサバンの特定臨床研究の治療成績を、日本消化器関連学会週間2022にて発表した。s20例中1例にのみ消化管出血を認めたが、血栓の縮小効果において、ダナパロイドNaおよびアンチトロンビン製剤の点滴投与と遜色のない成績であった。 また、門脈圧低下目的での部分脾動脈塞栓術や脾臓摘出術において、術後に門脈血栓症を合併し、抗凝固治療でのコントロールに難渋すると、かえって門脈圧亢進症状が増悪し、消化管出血イベントの増加および生命予後へ影響することを、日本門脈圧亢進症学会総会とアジア太平洋肝臓学会オンコロジーミーティングで発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
症例の蓄積ペースがやや遅れているが、1年間の延長で対応できる。腸内細菌叢の解析をおこない、血栓再発の有無、また血栓を伴わない肝硬変症例との比較を行う。
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今後の研究の推進方策 |
症例の集積を入院症例だけでなく、外来受診症例にも拡充し、症例集積をはかり、腸内細菌叢の解析をおこなう。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナの流行に伴う受診、入院数の減少による門脈症例集積の遅延により、研究計画を1年延長したため。門脈血栓症例の便献体および血液検体、臨床情報を採取し、腸内細菌叢の解析と臨床データとの相関の検討をおこなう。
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