研究課題
門脈血栓(PVT)症例を集積し,腸内細菌叢の解析をおこない、抗凝固療法の有効性および再燃、臨床経過との関連を解析している。門脈血栓症において低下する症例が多いアンチトロンビン活性と生命予後について解析し、アンチトロンビン活性55%未満の低下が、生命予後不良、とくに肝不全死に関わる因子であることを解明し、論文として投稿し受理された。また、門脈圧低下目的での部分脾動脈塞栓術や脾臓摘出術において経過で門脈血栓症を合併し、抗凝固治療でのコントロール困難例においては門脈圧亢進症状が増悪し、消化管出血イベントの増加および生命予後へ影響することを、日本消化器病学会総会および日本門脈圧亢進症学会総会で発表した。門脈血栓症に対する経口抗凝固薬では長くワルファリンが用いられてきたが、近年PVTに対するDOACの有効性を示す報告が散見されており、実臨床での成績と合併症について検討した。肝予備能はChild-Pugh A 53.1%、B 46.9%で、PVTの存在部位はYerdel分類Grade1(61.2%)/2(36.7%)/3(2.0%)であった 。治療成績は著効(59.2%)/有効(12.2%)/無効(26.5%)で、治療前後のFDPは奏功群/無効群:-46.3%/-6.1 %と奏功群で有意に低下し(P<0.01)、D-dimerも奏功群/無効群:-56.4%/-8.1%と奏功群で有意に低下しており(P<0.005)、血液検査によるPVTの治療効果の推測が可能であった。また、Yerdel分類別奏功率はGrade1/2+3:86.2/52.6 %で,Grade1で奏功率が高かった(P<0.05)。一方で出血性有害事象が8.2%でみられ、出血源が同定できないもののHb 2 g/dL以上の低下例も認められた。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)
Int J Mol Sci.
巻: 24 ページ: -
10.3390/ijms24097732