研究課題/領域番号 |
20K08287
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
阪森 亮太郎 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (10644685)
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研究分担者 |
巽 智秀 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (20397699)
疋田 隼人 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (20623044)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 脂肪生成 |
研究実績の概要 |
マウス胎児線維芽細胞(MEF)の脂肪細胞への分化過程におけるRab8の発現を評価するため、野生型MEFをconfluentに増殖させて成長停止を誘導し、その後、脂肪細胞分化を促すカクテル処理(3-isobutyl-1-methylxanthine、インスリン、デキサメタゾン、ロシグリタゾン(PPAR-γ選択的作動薬))を施した。誘導前、脂肪形成カクテル刺激後48時間、誘導後10日に細胞を採取した。未誘導のMEFと比較して、分化した培養上清ではFabp4、Glut4、Rab8およびRab11タンパク質の増加が認められた。脂肪細胞の分化は、BODIPY染色で検出される脂質滴の形成によって確認された。Erk1/2のリン酸化は、この誘導・分化過程で調節された。Rab8a-/- MEFは脂肪細胞への分化誘導前に野生型MEFと同程度の大きさの脂肪滴を有していた。Rab8a欠損が脂肪形成刺激に対するMEFの反応に関与するかどうかの評価のためRab8a-/-MEFをカクテル処理した。蛍光染色では処理後のRab8a-/- MEFに大きな脂肪滴形成は検出されなかった。野生型細胞では脂肪滴の平均直径が20倍以上に増加したが、Rab8a-/- MEFでは2倍未満に減少した。誘導された野生型培養上清は、誘導されていない野生型MEFと比較して、β-カテニンとTcf1が減少しており、誘導時にcanonical Wntシグナルが減少していることが示された。これらのデータは、Rab8a-/-MEFの分化が、Wntシグナルの異常な上昇を伴っていることを示した。新生児(P0)Rab8a-/-マウスの皮下脂肪組織を評価したところ、野生型同腹仔と比較して皮下脂肪が減少していた。Rab8a-/-マウスの皮下にはaP2(Fabp4)で示される細胞が存在したが、これらの細胞には野生型マウスのaP2皮下脂肪細胞に特徴的な脂肪滴が密に存在していないようであった。aP2標識細胞については、骨格筋に隣接する脂肪組織でも同様の観察がなされた。これらの結果から Rab8aは生体内および生体外の脂肪組織形成に必要であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
胎児線維芽細胞におけるRab8a、Rab8bの役割についての結果が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
脂肪細胞傷害におけるRab8の役割について検討を行う。
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