研究実績の概要 |
【背景と目的】自己免疫性肝炎(AIH)における口腔・腸内細菌叢異常が認められ, 特にVeillonellaの相対的増加の報告が散見される. しかし, その直接的な影響は不明である. 本研究の目的は, 口腔細菌 (Veillonella dispar)がAIHの病態に及ぼす影響を明らかにすることである. 【方法】 1. まず, AIH患者18名と健常者(HC)12名の口腔細菌叢を次世代シーケンサーで評価し, Veillonella disparの相対的増加を確認する.2. 次にS-100タンパク質を精製し, AIHマウスモデルを作成する. 3. 最後にAIHモデルにVeillonella disparを経口投与し, 肝炎の程度, 肝臓、脾臓の濾胞性ヘルパーT細胞やサイトカイン, 腸内細菌叢, 腸管透過性を評価する. 【結果】AIHでは健常者と比較して口腔細菌叢において有意にVeillonella disparが増加していた. さらに, PICRUSt2ソフトウェアを使用して, さまざまな推定メタゲノムの機能的多様性を評価した. 計7つの予測される代謝経路は、AIHとHCの間で有意に異なっていた. メスC57BL/6マウスの肝臓から精製したS-100抗原タンパク(0.5-2mg/mLを0.5mL)とcomplete Freund’s adjuvant(CFA、0.5mL)をメスC57BL/6マウスにday0、day7に腹腔内投与し、4週間後に慢性肝炎を発症したか確認した. AST, ALTの上昇と肝組織での肝炎所見を認めている.
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