研究課題/領域番号 |
20K08291
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
吉田 道弘 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (20636328)
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研究分担者 |
志村 貴也 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (90405192)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 胆道癌 / リキッドバイオプシー / miRNA / エクソソーム |
研究実績の概要 |
胆汁中エクソソームをガラスフィルター法で抽出し、エクソソーム内miRNAの解析を行っている。癌と非癌患者の症例を10例ずつ集め、東レの高感度DNAチップ(3D Gene)を用いて網羅的解析を実施。非癌症例と比較し癌症例で有意に発現の高いmiRNAを複数確認し得た。一方、同一患者群での血清サンプルを用いた同じエクソソーム解析では、両群に有意な発現差を認める因子は一つも抽出されなかった。そこで癌および非癌症例をそれぞれ34例ずつ追加して胆汁を用いたValidation解析を3D Geneで行った。最終的に2種類のmiRNA(miR-451a・miR-3619-3p)で再現性のある発現変化を認める事を突き止めた。臨床背景との解析を行うと、miR-451aでは発現と相関のある臨床背景因子は認められなかったが、miR-3619-3p高発現は予後不良因子であることも解明した。 二つのmiRNAについて基礎実験(細胞実験)で発現解析を行った。まず細胞培養液の上澄からフィルター法を用いてエクソソームを捕捉抽出してエクソソーム内miRNAに対してqRT-PCRで解析を行ったところ、正常胆管上皮細胞株と比較し、これらの候補miRNAは胆管癌細胞株の培養液中のエクソソーム内発現量が高い事が確認できた。 ここまでの結果をまとめ論文化しCancer Scienceに採択された。またその内容について、消化器病学会総会・癌学会・JDDW2022で学会報告した。 細胞実験については、miR-3619-3pをターゲットしてmimic, inhibitorを用いて発現制御を行い、機能解析を継続中である。臨床検体を用いた解析については、胆道疾患には癌以外のIgG4関連硬化性胆管炎・原発性硬化性胆管炎といった良性疾患について現在同じ解析方法でmiRNAの発現解析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
A.miRNA解析:1)胆汁中miRNA解析:疾患間比較では、胆道癌と総胆管結石を中心とした良性疾患の比較を行い結果を報告してきたが、IgG4SC・PSCについては症例蓄積期間も必要なため解析に時間を要している。胆道癌で得られた知見についてqRT-PCRでの発現定量解析を行っているが、指標となる内因子の条件設定に時間を要している。2)手術標本との比較(癌症例):手術切除された胆道癌症例の腫瘍組織と非腫瘍組織、および良性症例の標本組織からのmiRNA・ターゲット遺伝子・タンパク解析は、貴重な臨床サンプルのため細胞実験でのmiR-3619-3pおよびmiR-451aの機能解析の結果を確認のうえ行うこととしているが、その細胞実験に時間を有しており、今回の期間中に組織検体の発現解析は行えていない。 B.糖鎖解析:ガラスデバイスを用いた胆汁中エクソソームからの抽出の段階で、エクソソーム外の糖鎖の混入が生じてしまうことが判明。いろいろな条件で検証したがこれが結果に大きく影響してしまうため、今回の期間内での解析ではmiRNA解析を優先することとした。
上記とは別に、実臨床におけるコロナ感染症診療の影響で、実験に費やす時間が減っている。研究代表者・研究分担者自体もそれぞれ異なる時期に濃厚接触者さらにはコロナ感染者となり、研究時間が取れない期間が複数回に渡り生じた。
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今後の研究の推進方策 |
1)胆汁中miRNA解析:IgG4SC・PSCについての解析遂行。胆道癌においてはすでに得られ論文化した網羅的解析の結果を基にしたqRT-PCRでの発現検証の実行。2)細胞実験での機能解析:miRNAのmimic/inhibitorによる機能解析遂行。3)上記で得られた結果を基にした手術標本での発現確認の実行。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験進行の遅れのため。
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