研究課題
前年度に引き続き、Bach1欠損マウス(Heme Oxygenase-1(HO-1)高発現マウス)では、デキストラン硫酸(DSS)惹起性腸炎が野生型マウスに比較して抑制されることをもとに、糞便移植やco-housingによりBach1欠損マウス(HO-1高発現マウス)の腸内環境を移植された野生型マウスにおいてもDSS惹起性腸炎が抑制されること、HO-1高発現環境下で優位性を示す腸内細菌の一つとして同定されたParaprevotella claraの投与により腸炎が抑制されること、を明らかにした。Paraprevotella claraについては酪酸をはじめとした短鎖脂肪酸生成能を有することを確認しており、また、Bach1欠損マウス(HO-1高発現マウス)の腸内環境のアセスメントとして実施した糞便中有機酸解析においても短鎖脂肪酸が維持されていることを確認し、Paraprevotella claraは抗炎症性細菌として有望な候補菌であると考えられた。一方、マウス皮膚潰瘍モデルを用いたCO投与による皮膚潰瘍の修復促進効果についても検討を行い、潰瘍部肉芽組織におけるVEGF産生亢進を介した血管新生により、潰瘍治癒促進作用を明らかにし、この研究成果については英文誌報告を行った。また、ラット大腸潰瘍モデルを用いたCO溶解液の注腸投与による大腸潰瘍治癒促進作用についても同様の血管新生を介した修復機構が存在すること、COの大腸潰瘍治癒促進作用が既存薬剤(5-アミノサリチル酸、ステロイド)の効果を凌駕するものであることを明らかにした。
2: おおむね順調に進展している
当初予定の研究計画は順調に進捗しており、研究結果の再現性を確認の上、次年度に英文報告を行う予定である。
前年度結果を受けて研究を継続し、特にBach1欠損マウス(HO-1高発現マウス)の腸内環境アセスメントとして糞便中の有機酸解析データの再現性を確認し、英文報告を行う予定である。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件)
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