研究課題/領域番号 |
20K08298
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
小川 浩司 北海道大学, 大学病院, 助教 (20735188)
|
研究分担者 |
坂本 直哉 北海道大学, 医学研究院, 教授 (10334418)
須田 剛生 北海道大学, 大学病院, 特任助教 (20447460)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | NASH / 糖鎖マーカー |
研究実績の概要 |
脂肪性肝疾患は、世界的な、肥満人口の増加に伴いその有病率は上昇し、世界的な公衆衛生上の大きな問題の1つとなり、本邦においても高い有病率である事、経年的に増加傾向である事が報告されている。すなわち、本邦ではEguchiらは 診受診者の 約30%がNAFLDと診断されたと報告されている。NAFLDは、非 アルコール性脂肪肝(Non-alcoholic fatty liver; NAFL)と非アルコール性脂肪性肝炎(Non alcoholic steatohepatitis; NASH)に分類されるが、その過半 は予後良好なNAFLにとどまることが想定されている。一方で、NASHは肝に脂肪が蓄積することに加えて炎症性細胞の浸潤を合併し、炎症を引き起こす疾患群として知られ、肝硬変、肝細胞癌へと進展する予後不良な 病態であり早期の疾患の囲い込みが必須となが、肝生検以外の方法が現時点存在しない。我々は、独自に開発した網羅的な複合糖質糖鎖解析(総合グライコミクス)にて、早期NASHを診断可能で、肝炎症を鋭敏に反映する可能をもった糖鎖マーカーを見出した(特許公開番号 WO2017126514A1)。すなわち、中央病理判定にて診断されたmatteoni分類1-2 のNAFL患者とmatteoni分類3-4のNASH患者血清中のα1 アンチトリプシン(AAT)結合フコシル化糖鎖A3F(AAT-A3F)濃度 は、基質蛋白は変化を認めないにもかかわらずNASH患者において、NAFL患者と比較して有意に 上昇し特に、matteoni分類1-2の症例と線維化の進展していない matteoni分類3の症例においても差を認める事を明らかにした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナウイルス蔓延の影響で検体収集などが遅れている
|
今後の研究の推進方策 |
NASH症例において特異的に上昇する糖鎖修飾された蛋白の肝線維化進展への影響、治療ターゲットの可能性の検討を引き続き行う。AAT-A3Fを同定する過程で、新規のNASH症例でのみ発現の上昇が確認された糖鎖修飾蛋白を同定しており、これらの糖タンパクをヒト肝癌細胞(Huh-7, HepG2)ヒト肝星細胞株LX-2株共培養系,細胞共培養システム(Co-Culture System))において、標的蛋白をknockdownまたは糖鎖修飾部位特異的抗体で処理し、TGF-beta、IL-6添加を行い、炎症サイトカイン、コラーゲン α-SMA発現抑制効果をもつ糖鎖修飾蛋白の検討を行い、抗線維化治療ターゲットの検索を行う。更に、AAT-A3Fとは別の新規肝線維化予測糖鎖マーカーの探索を行う
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染の為に研究の一部が滞った為。今年度では、収集した検体を用いた検討を進めて行く
|