研究課題/領域番号 |
20K08300
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
濱田 晋 東北大学, 医学系研究科, 助教 (20451560)
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研究分担者 |
正宗 淳 東北大学, 医学系研究科, 教授 (90312579)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 酸化ストレス |
研究実績の概要 |
膵癌はその殆どがK-ras変異を有しているにも関わらず、K-rasを標的とした治療は有効治療となっていない。本研究の目的は変異K-ras発現とNrf2持続活性化により誘導される細胞死促進因子を解明し、ヒトおよびマウス膵癌細胞における新たな細胞死誘導法の開発により膵癌新規治療の基礎を築くことである。本年度は変異K-rasを発現する膵癌マウスモデル由来細胞株を用いて、酸化ストレス応答亢進による代謝リプログラミングについて検討を行った。野生型・Nrf2欠損・Keap1欠損・Nrf2/Keap1欠損KPCマウスから樹立した細胞株を用いて、アミノ酸代謝経路の阻害剤への感受性を検討した。 Keap1欠損により恒常的にNrf2活性化を来した膵癌細胞株において、阻害剤投与により細胞生存率が有意に低下することを確認した。野生型膵癌細胞において酸化ストレス誘導剤であるマレイン酸ジエチル投与後に阻害剤処理を行った場合でも同様に細胞生存率は低下し、Keap1欠損による恒常的な活性化のみならず、薬剤によるNrf2活性化によってもアミノ酸依存性が誘導可能であることが判明した。更に、K-ras変異を有するヒト膵癌細胞株についてもマレイン酸ジエチル処理を行うことでアミノ酸依存性が誘導可能であることを確認した。K-ras変異を持たない細胞株ではこのようなアミノ酸依存性の誘導は起こらず、K-ras変異を有する膵癌細胞での酸化ストレス応答活性化により新たな治療介入が可能になると考えられる。得られた結果につき英語論文として報告している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの検討により、変異K-rasを発現する膵癌細胞の薬剤感受性を向上させる方法が見出されており、おおむね順調に進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
酸化ストレス応答亢進の結果として、薬剤感受性の改善に関わる標的分子の同定を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は細胞実験を中心に研究を進めたため、未使用額が生じた。来年度以降は動物実験での検証を予定しており、未使用額と合わせて使用予定である。
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