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2022 年度 実績報告書

遺伝子改変iPS細胞を用いたHBVゲノムの組み込みによる発癌メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K08303
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

新田 沙由梨  東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助教 (20527056)

研究分担者 朝比奈 靖浩  東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 寄附講座教授 (00422692)
柿沼 晴  東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (30372444)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードHBV integration / 肝細胞癌
研究実績の概要

B型肝炎ウイルス(HBV)感染に起因する肝発癌には、ウイルスゲノムがヒトゲノムに組み込まれる(integration)ことが関与していることが示唆されている。本研究では、HBVのTERT領域へのintegrationによる肝発癌への関与とそのメカニズムを明らかにすることを目的した。
ゲノム編集技術を用い、ヒトiPS細胞のTERT promoter領域にHBVゲノムの一部(HBx遺伝子を含む領域)を挿入したHBV integrationモデルiPS細胞を樹立した。これらのintegrationモデル細胞ではiPSマーカーとTERTの発現に変化はなかった一方、HBxの発現を認めた。樹立したintegrationモデルiPS細胞を肝細胞系譜細胞へと分化誘導した細胞(iPS-hep細胞)では、HBxの発現は未分化iPSに比べ発現亢進を認めた。また、TERTの発現は非ゲノム編集細胞(wt)と比し高い発現を示した。
このiPS-hep細胞についてRNA sequenceによる、網羅的な遺伝子発現解析を行った。TERTの他、肝癌にかかわる既知の遺伝子および他癌との関連が報告されている複数の遺伝子がDEGsとして抽出された。また、TERTとHBV両方の配列を含む融合転写産物が少量ながら検出された。
一方、TERT promoter領域にHBV integrationを認める肝癌組織検体のRNA sequence解析を行ったところ、非癌組織と比し、細胞周期や細胞分裂に関わる経路が亢進し、また細胞接着やアポトーシスに関連する遺伝子の変動が示唆された。また、肝癌検体においてもTERTとHBV両方の配列を含む融合転写産物が発現していることが示された。
これらの遺伝子発現変動や融合転写産物が悪性形質獲得に関与している可能性があると考えられた。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (5件)

  • [学会発表] ヒトiPS細胞を用いたHBV integrationモデルの樹立と悪性形質獲得に関わる分子機構の解析2022

    • 著者名/発表者名
      新田 沙由梨、柿沼 晴、稲田賢人、持田 知洋、渡壁 慶也、志水 太郎、土屋 淳、三好 正人、金子俊、北畑 富貴子、村川 美也子、井津井 康浩、中川 美奈、朝比奈 靖浩
    • 学会等名
      第44回日本肝臓学会東部会
  • [学会発表] TERT領域へのHBVゲノム挿入が癌形質獲得に与える影響2022

    • 著者名/発表者名
      新田 沙由梨, 柿沼 晴, 持田 知洋, 渡壁 慶也 ,志水 太郎, 土屋 淳, 三好 正人,北畑 富貴子, 村川 美也子, 井津井 康浩, 中川 美奈, 東 正新, 朝比奈 靖浩
    • 学会等名
      第58回日本肝臓学会総会
  • [学会発表] B型肝炎ウイルスのMLL4領域へのintegrationによる発癌メカニズムの解析2022

    • 著者名/発表者名
      土屋 淳、柿沼 晴、朝比奈 靖浩
    • 学会等名
      第26回日本肝臓学会大会
  • [学会発表] ヒトiPS由来細胞を利用したB型肝炎ウイルスゲノム挿入による発癌プロセスの解析2022

    • 著者名/発表者名
      土屋淳、柿沼晴、朝比奈靖浩
    • 学会等名
      第108回日本消化器病学会総会
  • [学会発表] 網羅的遺伝子発現解析によるヒトiPS細胞由来肝細胞オルガノイドの形質解析2022

    • 著者名/発表者名
      志水太郎、柿沼晴、朝比奈靖浩
    • 学会等名
      第108回日本消化器病学会総会

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公開日: 2023-12-25  

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