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2020 年度 実施状況報告書

肝細胞癌における間質細胞オートファジーを介した癌微小環境の制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K08307
研究機関大阪大学

研究代表者

疋田 隼人  大阪大学, 医学系研究科, 助教 (20623044)

研究分担者 阪森 亮太郎  大阪大学, 医学系研究科, 助教 (10644685)
巽 智秀  大阪大学, 医学系研究科, 講師 (20397699)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード肝癌 / 肝星細胞
研究実績の概要

後日入力肝星細胞と肝癌細胞を共培養すると肝星細胞のオートファジーは促進し、肝癌細胞の増殖が促進した。この肝星細胞による肝癌細胞増殖促進効果は、肝星細胞のAtg7を欠損させてオートファジーを抑制すると、減弱した。肝癌細胞と肝星細胞を免疫不全マウスに共接種して作製したゼノグラフト腫瘍は、肝癌細胞だけを接種して作製したゼノグラフト腫瘍より増大速度は速く、接種する肝星細胞のAtg7を欠損すると腫瘍増大速度は低下した。肝星細胞特異的Atg7欠損マウスを作製してNASH発癌を誘導したところ、コントロールマウスに比して腫瘍個数や最大腫瘍径は有意に小さく、腫瘍部のKi67陽性癌細胞数も減少した。培養細胞を用いた網羅的な遺伝子発現解析の結果、肝癌細胞との共培養によって肝星細胞からGDF15が発現増大し、肝星細胞のAtg7を欠損させるとGDF15増大が減弱することを見出した。そこで、肝星細胞のGDF15を欠損させて肝癌細胞と共培養すると、肝星細胞との共培養による肝癌増殖促進効果は抑制された。ゼノグラフト腫瘍でも接種する肝星細胞のGDF157を欠損すると腫瘍増大速度は低下した。肝星細胞特異的GDF15欠損マウスを作製してNASH発癌を誘導したところ、コントロールマウスに比して最大腫瘍径は有意に小さく、腫瘍部のKi67陽性癌細胞数も減少した。
ヒト臨床サンプルでは、非腫瘍部に比して腫瘍部でGDF15の発現は有意に上昇していた。免疫染色にて間質細胞がGDF15陽性となる症例は、非癌部では約2割であったが癌部では約5割と高く、GDF15陽性の間質細胞数も癌部で有意に多かった。
以上より、肝星細胞のオートファジー亢進を介したGDF15の発現増加は肝癌の発育進展に寄与することを明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度の研究結果によって、肝癌組織における肝星細胞のオートファジー促進が肝癌増大に与える機序としてGDF15を介した機序の存在が明らかとなり、本研究課題はおおむね順調に進展している。

今後の研究の推進方策

上記の通り順調に進行しており、計画書に準じて研究を進めていく。特に次年度以降にマクロファージや血管内皮細胞などと肝癌細胞を共培養し、マクロファージや血管内皮細胞の存在が肝癌細胞の増殖促進に影響を与えるか検討する。また、その機序についても検討を行う。in vivoでも並行して同様の検討を行い、マクロファージのオートファジーが抑制するマクロファージ特異的Atg7欠損マウスなどを用いて解析を進める。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2021 2020 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Hepatic Stellate Cells in Hepatocellular Carcinoma Promote Tumor Growth Via Growth Differentiation Factor 15 Production2021

    • 著者名/発表者名
      Myojin Y, Hikita H, Sugiyama M, Sasaki Y, Fukumoto K, Sakane S, Makino Y, Takemura N, Yamada R, Shigekawa M, Kodama T, Sakamori R, Kobayashi S, Tatsumi T, Suemizu H, Eguchi H, Kokudo N, Mizokami M, Takehara T.
    • 雑誌名

      Gastroenterology .

      巻: 160 ページ: 1741-1754

    • DOI

      10.1053/j.gastro.2020.12.015.

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Persistent hepatocyte apoptosis promotes tumorigenesis from diethylnitrosamine-transformed hepatocytes through increased oxidative stress, independent of compensatory liver regeneration2021

    • 著者名/発表者名
      Nozaki Y, Hikita H, Tanaka S, Fukumoto K, Urabe M, Sato K, Myojin Y, Doi A, Murai K, Sakane S, Saito Y, Kodama T, Sakamori R, Tatsumi T, Takehara T.
    • 雑誌名

      Sci Rep

      巻: 11 ページ: 3363

    • DOI

      10.1038/s41598-021-83082-7.

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Gab1 in livers with persistent hepatocyte apoptosis has an antiapoptotic effect and reduces chronic liver injury, fibrosis and tumorigenesis2021

    • 著者名/発表者名
      Mizutani N, Hikita H, Saito Y, Myojin Y, Sato K, Urabe M, Kurahashi T, Shiode Y, Sakane S, Murai K, Nozaki Y, Kodama T, Sakamori R, Yoshida Y, Tatsumi T, Takehara T.
    • 雑誌名

      Am J Physiol Gastrointest Liver Physiol.

      巻: in press ページ: in press

    • DOI

      10.1152/ajpgi.00370.2020.

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] 肝癌微小環境における肝星細胞のオートファジーを介したGDF15の意義2020

    • 著者名/発表者名
      明神悠太、疋田隼人、竹原徹郎
    • 学会等名
      第56回日本肝臓学会総会
  • [学会発表] 肝星細胞がオートファジー依存的に分泌するGDF15は肝細胞癌の進展に寄与する2020

    • 著者名/発表者名
      明神悠太、疋田隼人、小玉尚宏、牧野祐紀、阪森亮太郎、巽智秀、溝上雅史、江口英利、竹原徹郎
    • 学会等名
      第79回日本癌学会学術総会
  • [学会発表] Hepatic stellate cell autophagy promotes HCC progression via GDF152020

    • 著者名/発表者名
      Yuta Myojin, Hayato Hikita, Masaya Sugiyama, Takahiro Kodama, Yuki Makino, Ryoko Yamada, Tasuku Nakabori, Ryotaro Sakamori, Tomohide Tatsumi, Masashi Mizokami, Tetsuo Takehara
    • 学会等名
      The Digital International Liver Congress of the European Association for the Study of the Liver
    • 国際学会
  • [学会発表] GDF15 secreted by hepatic stellate cells accelerates HCC progression in an autophagy-dependent manner2020

    • 著者名/発表者名
      Yuta Myojin, Hayato Hikita , Masaya Sugiyama, Takahiro Kodama, Yuki Makino, Ryoko Yamada, Ryotaro Sakamori, Tomohide Tatsumi, Masashi Mizokami, Tetsuo Takehara
    • 学会等名
      The Liver Meeting Digital Experience
    • 国際学会
  • [備考] 肝がん進展に関わる新たな分子を発見

    • URL

      https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2020/20201224_2

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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