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2022 年度 実績報告書

肝細胞癌における間質細胞オートファジーを介した癌微小環境の制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K08307
研究機関大阪大学

研究代表者

疋田 隼人  大阪大学, 大学院医学系研究科, 講師 (20623044)

研究分担者 阪森 亮太郎  大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任講師 (10644685)
巽 智秀  大阪大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (20397699)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード肝癌 / GDF15 / CTGF
研究実績の概要

肝星細胞と肝癌細胞を共培養すると肝星細胞のオートファジーは促進し、肝癌細胞の増殖が促進した。この肝星細胞による肝癌細胞増殖促進効果は、肝星細胞のAtg7を欠損させてオートファジーを抑制すると、減弱した。培養細胞を用いた網羅的な遺伝子発現解析の結果、肝癌細胞との共培養によって肝星細胞からGDF15が発現増大し、肝星細胞のAtg7を欠損させるとGDF15増大が減弱することを見出した。そこで、肝星細胞のGDF15を欠損させて肝癌細胞と共培養すると、肝星細胞との共培養による肝癌増殖促進効果は抑制された。肝星細胞のオートファジー亢進を介したGDF15の発現増加は肝癌の発育進展に寄与することを明らかにした。

肝発癌モデルとして肝細胞特異的Kras変異マウスであるKrasG12Dマウスを用いた。このマウスの癌部ではp-STATとその標的遺伝子、IL-6ファミリー分子の発現上昇を認めた。また癌部ではCTGFが高発現しており、各種IL-6ファミリー分子、STAT3標的遺伝子の発現と正の相関を示した。癌組織では、IL-6ファミリー分子は主に肝星細胞、マクロファージ、類洞内皮細胞、T細胞などの間質細胞が発現していた。STAT3を肝細胞特異的に欠損したKrasG12Dマウスでは癌部においてp-STATおよびCTGFの発現が低下し、腫瘍の増大進展が抑制された。IL-6ファミリー分子の刺激により肝癌細胞のp-STAT、CTGFの発現が上昇し、細胞増殖が亢進した。KrasG12DマウスにおいてCTGFを肝細胞特異的に欠損させると、癌部においてIL-6ファミリー分子、p-STAT3の発現が低下し、腫瘍の増大進展が抑制された。
肝癌においてSTAT3はCTGFとIL-6ファミリー分子を介した腫瘍間質反応により活性化し、肝癌の増大進展を促進する可能性が示唆された。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] STAT3 is Activated by CTGF-mediated Tumor-stroma Cross Talk to Promote HCC Progression2023

    • 著者名/発表者名
      Makino Yuki、Hikita Hayato、Kato Seiya、Sugiyama Masaya、Shigekawa Minoru、Sakamoto Tatsuya、Sasaki Yoichi、Murai Kazuhiro、Sakane Sadatsugu、Kodama Takahiro、Sakamori Ryotaro、Kobayashi Shogo、Eguchi Hidetoshi、Takemura Nobuyuki、Kokudo Norihiro、Yokoi Hideki、Mukoyama Masashi、Tatsumi Tomohide、Takehara Tetsuo
    • 雑誌名

      Cellular and Molecular Gastroenterology and Hepatology

      巻: 15 ページ: 99~119

    • DOI

      10.1016/j.jcmgh.2022.09.006

    • 査読あり
  • [学会発表] 肝癌細胞のSTAT3活性化における間質細胞とのクロストーク2023

    • 著者名/発表者名
      疋田隼人、加藤聖也、竹原徹郎
    • 学会等名
      第109回日本消化器病学会総会
  • [学会発表] 癌微小環境による肝癌癌進展機序に着目した新規肝発癌バイオマーカー2022

    • 著者名/発表者名
      疋田隼人、竹原徹郎
    • 学会等名
      第42回日本分子腫瘍マーカー研究会

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公開日: 2023-12-25  

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