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2021 年度 実施状況報告書

超保存領域が内包する大腸がん発症リスクの分子メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K08309
研究機関徳島大学

研究代表者

西田 憲生  徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 准教授 (10624033)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード超保存領域
研究実績の概要

昨年度に引き続き、iPS細胞より腸管細胞に分化した細胞におけるT-UCR(transcribed-ultraconserved region)の発現結果を再評価した。今年度は、分化過程で遺伝子発現が上昇する遺伝子Aについて、その機能について研究を進めた。この遺伝子Aは、遺伝領域内に6つのUCRを保持しており、このうち、2つのT-UCRは、腸管への分化とともに発現が増えることを確認した。一方、残りの4つは、未分化および分化した細胞ともにほとんど発現していなかったため、まず、転写されるUCR(T-UCR)について検討を行った。
HA配列をN末端につけたこれら2つのT-UCR配列を、pcDNA3 プラスミドにクローニングし、その後、大腸がん細胞株HCT116細胞にトランスフェクションを行った。その後、大腸がん細胞株の表現型の変化を観察した。いずれのT-UCRを導入した細胞も、細胞の遊走能の亢進を認めた。一方、細胞増殖能については、大きな変化を認めなかった。さらに、この遺伝子から翻訳されるタンパク質の抗体を独自で作製した。過剰発現細胞株からタンパク質を抽出し、作製した抗体を用いて、ウェスタンブロットを行った。2つのT-UCRのうち、1つは、構成的に発現しているタンパク質であり、HA抗体で認識される部位と同じ分子量付近に、作製した抗体が認識するバンドを確認することができた。一方、もうひとつのT-UCRを含む配列については、タンパク質へ翻訳されるという報告がまだされておらず、来年度に検討を行う予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

既成の抗体を2種類購入し、ターゲットタンパク質の発現量のチェックを試みた。ターゲットタンパクにHAを付加した過剰発現ベクターをトランスフェクションし、タンパク抽出を行った。このライセートを用いてウェスタンブロッティングを行ったところ、HAタンパク質は確認できたが、ターゲットタンパク質の既成抗体に反応するバンドの検出はできなかった。このため、独自で設計したエピトープに対する抗体を作製することとした。このために時間を要したため、やや解析が遅れた。本年度は、抗体作製が終了したため、来年度は予定どおり進行させたい。

今後の研究の推進方策

ターゲットとしている遺伝子Aは、タンパク質をコードするmRNAと新規に解析を進めているRNAの2つのアイソホームが転写される。このタンパク質に対する抗体を作製することができたため、今後は、新規に解析を進めているRNAが、内在性タンパク質として翻訳されているかどうかについて、明らかにする予定である。そのために、ターゲット遺伝子の効率的なノックダウン系の確立を引き続き探索していく。これまで、siRNAを用いた実験系では、ノックダウン効率が悪かったため、遺伝子編集技術を用いた発現制御系を試みる予定である。また、同時に、ラットの腸管上皮細胞を分離し、シングルセル解析によりターゲット遺伝子Aを含むT-UCRの発現パターン、発現細胞について、網羅的な解析を進める予定である。

次年度使用額が生じた理由

(理由)本年度使用予定であった、網羅的解析の費用が、抗体作製の遅れより実施できなかった。
(使用計画)次年度には、当初予定してた腸管上皮細胞のシングルセル解析および、新規に確立した細胞株のnon-codingRNAを対象とした網羅的解析を実施するために使用予定である。また、siRNAに代わる発現制御系を確立するために、ゲノム編集技術を用いた細胞株の樹立する費用に使用する予定である。

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公開日: 2022-12-28  

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