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2023 年度 実施状況報告書

超保存領域が内包する大腸がん発症リスクの分子メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K08309
研究機関徳島大学

研究代表者

西田 憲生  徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 准教授 (10624033)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
キーワード超保存領域
研究実績の概要

前年度に引き続き、iPS細胞より腸管細胞に分化した細胞におけるT-UCR(transcribed-ultraconserved region)の発現結果を再評価した。これまでに、分化過程で遺伝子発現が上昇する遺伝子Aについて、引き続き、その機能について検討を行った。この遺伝子Aは、遺伝領域内に6つのUCRを保持しており、このうち、2つのT-UCRは、腸管への分化とともに発現が増えることを確認した。さらに、Hirshsprung病の形成にも関わることが報告された(Gene. 2024)。遺伝子Aは神経系細胞での発現が亢進していることが知られているため、腸管神経系と腸管細胞の分化過程において重要な機能を発揮していることが想定される。これまでに、6つのTURのうちの4つは、未分化および分化した細胞ともにほとんど発現していないことを確認しており、転写されるUCR(T-UCR)のHA配列をN末端につけた配列をクローニングしたpcDNA3 プラスミドの過剰発現細胞では、構成的に発現するタンパク質を認識する抗体と反応するバンド(翻訳されるたんぱく質)は確認できなかった。この転写産物からタンパク質から翻訳されるかについては、in vitro 翻訳アッセイなどを用いて、翻訳機能の検討を行う予定である。
今年度は、上記に加えて、遺伝子Aの構成的に発現するタンパク質との発現調節およびHirshsprung病との関連も含めて、胎児期に胎児期における発現のダイナミクスを検討する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

市販のタンパク質Aに対する抗体は、遺伝子Aを過剰発現した細胞で、抗体に反応するバンドを検出できなかったため、オリジナル抗体を作製した。現在のところ、T-UCR配列を含む転写産物からのタンパク質発現は確認できていない。in vitro assayを実施する予定であったが、十分に遂行できなかったため、遅れていると評価した。本年度は、T-UCRからの転写産物の機能解析に加えて、構成的に発現するタンパク質Aの発現調節を動物実験(胎生期の発現調節機構)について検討する予定である。

今後の研究の推進方策

ターゲットとしている遺伝子Aは、タンパク質をコードするmRNAと新規に解析を進めているRNAの2つのアイソホームが転写される。作製に成功した構成的に発現するタンパク質に対する抗体を用いて、マウスに胎生期の発生過程における発現調節機構を明らかにする予定である。現在のところ、新規に解析を進めているUCRを含むRNAが、内在性タンパク質として翻訳されるエビデンスはないため、non-coding RNAの可能性を踏まえて解析を継続する。また、生物学的な意義を明らかにするため、in vivo(マウス胎児期)の発現ダイナミクスにおける機能を優先的に明らかにする。また、時間的な余裕があれば、UCR領域の遺伝子編集によるノックダウンを用いて、構成的に発現しているタンパク質への転写、翻訳レベルへの影響を検討する。さらに、遺伝子Aは腸管上皮細胞のみならず、神経系細胞の発現が亢進していることが知られており、最近、Hirshsprung病との関連についても報告されている。腸管上皮細胞の分化と腸管神経系の形成における意義についても考察を加える予定である。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナ感染症の対応のため、前年度までの研究が十分に遂行できずに進捗状況がおくれていたために、次年度使用額が生じた。2024年度には、これまでの実施予定であった動物実験を含めた研究費用に使用する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 抗老化RNA uc.138 のm6Aメチル化修飾を介した大腸がん悪性化メカニズム2023

    • 著者名/発表者名
      桑野 由紀, KEYOUMU NAZERE, 西田 憲生, 森野 豊之
    • 学会等名
      第46回日本分子生物学会
  • [学会発表] 表現型に基づく優先順位付けを用いたALSの病的バリアント検索2023

    • 著者名/発表者名
      山内 翔葵, 宮本 亮介, 武藤 浩平, 桑野 由紀, ナズラ・キユム , 西田 憲生, 橘 このか, 和泉 唯信, 森野 豊之
    • 学会等名
      第64回日本神経学会学術大会

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公開日: 2024-12-25  

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