研究課題/領域番号 |
20K08316
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
池上 正 東京医科大学, 医学部, 教授 (40439740)
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研究分担者 |
本多 彰 東京医科大学, 医学部, 教授 (10468639)
宮崎 照雄 東京医科大学, 医学部, 准教授 (60532687)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 分枝鎖アミノ酸 / 肝硬変 / 骨格筋 |
研究実績の概要 |
非代償性肝硬変では、骨格筋において分枝鎖アミノ酸(BCAA)を代謝してエネルギー産生やアンモニア解毒が代償されているが、我々はBCAAの一つバリンが骨格筋でエネルギーとして燃焼される際に生じる中間代謝物3-ヒドロキシイソ酪酸(3-HIB)が肝硬変で増加しており、骨格筋での代償能のマーカーとして利用可能である可能性を示している。BCAA負荷による3HIBの変化を測定することで骨格筋代償能がイベント発生前に予想できるのではないかという仮説のもと、まずモデルマウスでの検討を行っている。肝障害モデルマウスを作成する際に、当初予定していた四塩化炭素の使用が実験施設では困難であるとされ、我々が作成したヒト型胆汁酸を有するモデルマウス(ケノデオキシコール酸をムリコール酸に変換する酵素、二次胆汁酸を一次胆汁酸に変換する酵素の二つをダブルノックアウトして作成:以下DKO)に新たな肝障害モデルとして本検討課題に適応可能かどうかの検証を行なった。DKOの状態でも肝障害は見られるものの、疎水性の強い胆汁酸(ケノデオキシコール酸+デオキシコール酸)を投与しさらに強い肝障害を起こすことにした(DKO-BA)。15週投与にてトランスアミナーゼの値などから強い肝障害が誘導されるのを確認し、この状態でBCAAを投与した。比較のために野生型(WT)のマウスに対しても同様の処置を行なった。30分後の血液、骨格筋中の3HIBを測定した。WT, DKO-BAともにBCAA投与にて血液中・骨格筋中の3HIBが増加したが、その程度は両群で変わらなかった。このことから、DKO-BAは本仮設の実証のためには適切なモデルとはいえないと判断した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予想されていた変化がDKO-BAマウスでは得られなかったため、モデル構築を再度行う必要があった。
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今後の研究の推進方策 |
現在水溶性のthioacetamide(TAA)を用いた肝硬変マウスを作成し、同様の検証を行なっている途中である。肝実質細胞の減少による骨格筋代償を再現することを試みる。また集積した臨床検体を用いた血液並びに唾液中の3HIB濃度の変化を測定する検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた動物実験での解析が進まず、別モデルを作成中であり、基礎的実験の探索が進まなかったこと。また、基礎的研究を元に計画していた臨床サンプルでの測定までに至らなかったことから、本年度使用額が予定を下回った。現在水溶性のthioacetamide(TAA)を用いた肝硬変マウスを作成し、同様の検証を行なっており、2022年度はこのマウスモデルの構築・検証のための費用、さらにこの基礎的結果に基づいて、集積した臨床検体を用いた血液並びに唾液中の3HIB濃度の変化を測定する検討を行うために費用を使用する。
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