非代償性肝硬変では、エネルギーの中心臓器である肝臓の機能が低下するため、Protein energy malnutrition(たんぱく質・エネルギー欠乏)の状態にある。そのため,骨格筋において、分岐鎖アミノ酸(BCAA)をエネルギー源として異化する事で、エネルギー産生やアンモニア解毒を代償する。骨格筋のミトコンドリア内でBCAAのバリンを異化する経路において、中間代謝物として3-ヒドロキシイソ酪酸(3-HIB)が生じ、その一部が骨格筋から血液中に放出される。そのため、血液中の3HIBの値を測定する事で、肝硬変時における骨格筋におけるエネルギー代謝代償能のバイオマーカーとなる可能性がある。本研究の目的は、肝障害モデルマウスを用いて、BCAA負荷時に生じる3HIBの体内動態について評価する事である。本研究の最終年に当たる今年度は、これまで作成した肝障害モデルマウス(ヒト型胆汁酸モデル、チオアセトアミド投与モデル)の検体を用いた検討について、骨格筋と肝臓、血液等の臓器相関を中心に総合的評価を行った。
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