普通食群、普通食 + コノフィリン群、高脂肪食群、高脂肪食 + コノフィリン群において、コノフィリンは高脂肪食による肝脂肪化、肝炎症、肝線維化を抑制した。トランスクリプトーム解析において発現変動している遺伝子をスクリーニングした上で遺伝子プロファイリングを行い、肝脂肪化に関しては高脂肪食によって遊離脂肪酸取り込みに関わる分子であるCD36mRNAが増加していた。コノフィリンを投与すると、CD36mRNAに有意な変化を認めなかったが、代謝亢進に関連したPPARA、CPT1、CPT2、ACOX1mRNAといった分子の発現が高脂肪食群に比べ有意に発現が亢進していた。また炎症に関してはTNFalpha、CD68mRNAが高脂肪食群で増加し、コノフィリンによって減少していることが確認された。さらに肝線維化に関しては高脂肪食で増加したTGFbetaおよびTIMP1mRNA発現がコノフィリン群で減少していることが確認された。一方、パスウエイ解析においては、肝脂肪化、炎症および線維化それぞれにおいて特定のパスウエイは見いだせなかった。次に肝脂質のメタボローム解析を行い、高脂肪食によって、肝中性脂肪以外にphosphatidylethanolamine、phosphatidylcholine、dimethylphosphatidylethanolamine が普通食によって増加していた。一方、コノフィリンを投与することで、肝中性脂肪は減少し、phosphatidylcholineも減少したが、phosphatidylethanolamine およびdimethylphosphatidylethanolamine は増加していた。phosphatidylethanolamineは膜タンパク質の安定化などに関与し肝臓中では,VLDLの分泌にも関与することが報告されている。コノフィリンによる肝phosphatidylethanolamineの増加はVLDLの分泌促進に関与する可能性が示唆された。
|