研究課題/領域番号 |
20K08326
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
上村 博輝 新潟大学, 医歯学総合研究科, 特任准教授 (40706420)
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研究分担者 |
寺井 崇二 新潟大学, 医歯学系, 教授 (00332809)
土屋 淳紀 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (70464005)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 肝筋相関 / サルコぺニア / 肝硬変 / マイオカイン |
研究実績の概要 |
高齢化が進む我が国において、加齢に伴い医療・介護費を増加させる病態であるサルコペニア(筋肉の量・機能低下)への対策は喫緊の課題である。肝不全では早期にサルコペニアが出現する事が注目されているが、本研究ではその病態を解明するためのモデル動物の作成、早期の段階で介入の指標となるバイオマーカーの確立を目指す。 肝不全サルコペニアモデルや臨床検体からプロテオミクス、miRNA解析を行い、モデル動物の結果と照合し、肝不全時に筋肉を臓器不全へ陥らせるサルコペニアのEVバイオマーカーを確立し、次世代型サルコペニア対策へと結び付ける。 第一段階として,初年度は老化促進モデルマウス+肝傷害等の組み合わせを行い,肝不全とサルコペニアを同時に評価できる新規モデル動物の構築を行った。 肝疾患併発サルコペニア対象モデルマウスについては,Melanocortin-4 Receptor(MC4R)ノックアウト(KO)マウスに対して,Dextran sulfate sodium (DSS) 誘導性による腸炎を併発した脂肪肝由来のサルコペニアモデルマウスを開発して運動解析を行った。握力とともに,オープンフィールドの実験を行い,個別の運動解析を行った。当該マウスより、血清,肝臓,心臓,大腿四頭筋,ヒラメ筋の摘出を行い,これらのマイオカインと肝発癌、NASスコアについて解析を継続している。肝硬変サルコペニア患者について、マイオカインの網羅的測定を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大学院生の協力もあり,MC4R_Highfat食,普通食に対してDSSあり、無しの状態で筋肉量(大腿四頭筋/体重比率)、筋力(握力)の評価を行い、サルコペニアモデルマウスに成功した。組織より蛋白、RNA抽出、また超音波ホモジナイザー利用により、パラクライン分泌されるマイオカインの測定も確率できた。教室であらたに購入したフリーザーにより保存血清の状態も良好である。入院患者におけるInBodyの網羅的検索によりサルコペニア患者の拾い上げ120名を行い、十分な検体を確保できた状態で各種マイオカインの測定を行った。また、上記確立したMC4RKOマウスを用いて,DSS投与による、運動負荷と経時的なマイオカインの評価系の作成に成功し、同モデルマウスにおいて、動物実験室との共同研究による、強制運動、運動解析も順調に行えている。 マウスにおいては、血清以外に組織直接的にパラクラインで分泌されるホルモンについて、筋組織より行うことが可能になっている。
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今後の研究の推進方策 |
肝硬変患者における上記マイオカインを体組成計や握力との相関関係の解析を施行した。末梢血はマウスの組織近傍で採取されるホルモンと異なり、結果がばらつきがあり、課題が残った。人においては筋肉を採取することが困難なため、認知機能(NCT,ストループ試験等)を定量的評価として加えることで、マイオカインとの関係性を解明することにより、肝硬変患者の肝筋相関の新評価が確立されつつある。最終年度である今年度は人検体より、教室で別途進めている、エクソソーム抽出キットを2種類施行して、サルコペニア患者からのエクソソーム抽出を並行して行っている。 また上記、認知機能を定量的に解析をして、サルコペニアと認知能力に対する解析を行うことでサルコペニア、マイオカイン、認知機能からの肝筋相関の解明を進めている。
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次年度使用額が生じた理由 |
エクソソーム抽出キットについて、教室で超遠心機の購入があったため、予算の繰り越しが発生した。研究の進展状況が良好のため、今後の心筋の追加解析に利用する。
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