肝硬変は国内の年間死亡者数が約17,000例に達しながら、いまだ有効な治療薬が存在しない。研究者らが開発した、温度応答性培養皿上で間葉系幹細胞(MSCs)に低分子化合物IC-2を添加し作製する「肝疾患治療用細胞シート」は、肝硬変の新規治療法になると期待されるが、外科手術を伴うため侵襲性が高く、すべての患者への適応は困難である。本研究ではこの問題点を打破すべく、肝疾患治療用細胞シートのセクレトームに着目し、肝線維化のみならず腎線維化抑制因子の抽出を進めることができた。本研究成果は、アンメットメディカルニーズとなる肝硬変や腎線維症の新たな治療法開発へと繋がる学術的、社会的に意義深い研究である。
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