本研究では、食道運動の生理機序と食道アカラシアの病態について以下を明らかとした。①神経型ニコチン性アセチルコリン受容体刺激が引き起こす下部食道括約筋(LES)弛緩反応は、神経伝達物質ATPによるカハールの介在細胞の過分極反応が関与する。②食道アカラシア患者では、ミオシン軽鎖リン酸化レベルが有意に低下する。③食道アカラシア患者の食道粘膜菌叢は、嫌気性菌を中心とした20種類以上の菌叢変化を認め、αdiversityで表される多様性が増加する。④高解像度食道内圧検査結果に基づいて食道運動を模倣する数理モデルの作成が可能であった。モデルを用いて食道アカラシアの内圧所見を再現することが可能である。
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