研究課題/領域番号 |
20K08335
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
久保 俊之 札幌医科大学, 医学部, 訪問研究員 (80784313)
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研究分担者 |
山本 英一郎 札幌医科大学, 医学部, 訪問研究員 (60567915)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 大腸がん / 微小環境 / がん線維芽細胞 / 浸潤 |
研究実績の概要 |
臨床検体からの線維芽細胞の採取:内視鏡的に切除した大腸がん4例、腺腫2例、正常大腸4例より新たに線維芽細胞を採取した。 CAFにおける網羅的遺伝子発現解析:正常組織より採取した線維芽細胞と、がん組織より採取したCAFの遺伝子発現をRNA-seqにより解析した。Gene Set Enrichment Analysisの結果、上皮間葉転換に関する遺伝子や、E2F標的、MYC標的、G2/Mチェックポイントなど細胞周期に関わる遺伝子群に有意な変化が見られた。 ACLPの機能解析:大腸がんより採取したがん関連繊維芽細胞(CAF)を用いて、ACLPの機能解析を行った。ACLPのノックダウンはCAFの増殖を抑制することをMTTアッセイにより明らかにした。次にCAFが大腸がん細胞の遊走・浸潤能に与える影響をBoyden Chamberアッセイにより解析した。Upper chamberに大腸がん細胞株、Lower chamberにCAFを配置して解析した結果、CAFは大腸がん細胞の遊走・浸潤を促進した。一方、CAFのACLPをノックダウンした場合、大腸がん細胞の遊走・浸潤の抑制が認められた。次にCAFのACLPをノックダウンし、遺伝子発現プロファイルに与える影響をマイクロアレイにより解析した。Gene Set Enrichment Analysis (GSEA)の結果、ACLPノックダウンはE2F標的遺伝子、G2/Mチェックポイント、mitotic spindleなど細胞周期に関連する遺伝子の発現に大きく影響を与えることが示された。 臨床検体におけるACLPの解析:The Cancer Genome Atlasの大腸がんのRNA-seqデータを解析した結果、ACLPの高発現は大腸がんの予後不良と相関することが明らかとなった。またACLPの発現は、ACTA2、PDGFRB、COL1A1など他の繊維芽細胞マーカー遺伝子の発現と強い相関を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床検体から新たなCAFを採取・樹立し、実験系を充実させることができた。またCAFにおけるACLPの分子機能解明の糸口となる結果を、マイクロアレイ解析から得ることができた。ACLPと相互作用する分子のスクリーニング実験を予定通り行った。また臨床検体におけるACLP発現の特徴を明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
臨床検体からの正常繊維芽細胞ならびにCAFの採取と樹立を継続する。CAFにおけるACLPの分子機能をさらに検証すべく、ACLPが細胞周期関連遺伝子に与える影響の検証を行う。また今年度得られた、ACLPと相互作用する候補分子について、解析を進める。CAFのACLP発現が、腫瘍形成や浸潤に与える影響を、in vivo実験により明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた学会出張が、全てリモートによる参加となったため、旅費を使用しなかった。また実験の大半を自分で行う事ができたため、人件費の支出がなかった。次年度は、学会出張ならびに、実験補助員の謝金として使用する予定である。
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