研究課題
臨床検体におけるACLP発現解析とその臨床病理学的意義を検討した。ACLPは腫瘍間質、とくにがん線維芽細胞(CAF)に高発現していた。一方、近傍の正常組織の線維芽細胞はACLPを高発現していなかった。ACLP発現は腫瘍径、リンパ節転移、ステージ、分化度、再発など相関を示すことから、ACLPが腫瘍の進展および悪性化に関わることが示唆された。また、ACLP発現はCOL1A1など多くのコラーゲンファミリー遺伝子の発現と高い相関を示すことがThe Cancer Genome Atlasなどのデータ解析から明らかとなった。臨床検体より採取した複数のCAFを用いて機能解析を行った。ACLPをノックダウンした結果、CAFの細胞外マトリクス再構成能が低下することを、コラーゲンゲル収縮アッセイより明らかにした。またACLPをノックダウンしたCAFの遺伝子発現をマイクロアレイ解析した結果、細胞周期関連遺伝子の低下やp53経路関連遺伝子の上昇が認められた。またCAF由来のACLPががん細胞に与える影響を解析するため、ACLPをノックダウンしたCAFとがん細胞を間接共培養した結果、対照群と比較してノックダウン群においてがん細胞の遊走・浸潤能の抑制が認められた。コラーゲンゲルを用いた3次元培養系においても同様の結果が得られた。またがん細胞をリコンビナントACLPで処理することにより、遊走・浸潤能の促進が認められた。さらにACLPを過剰発現させたCAFとがん細胞を免疫不全マウスに共移植した結果、対照群と比較してxenograft腫瘍の増大が認められた。摘出後の腫瘍を免疫組織染色解析した結果、間質の増大やコラーゲンの高発現が認められた。
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