ISXは胃発癌と腸上皮化生に関係する分子で、ISX-KOマウスではニトロソ化合物による胃発癌モデルで腫瘍発生が抑制され、CDX2、CyclinD1、CD44を介した発癌に関与することを解明してきた。特定の非H.pylori胃細菌叢がニトロソ化を促進し胃発癌に関連することに着目し、ISX発現を抑制するように胃癌との関連が示唆されている非H.pylori胃細菌叢を除菌するという胃発癌対策の着想を得た。本研究は胃細菌叢とISX発 現の関係を明らかとし、H.pylori除菌後の胃細菌叢除菌という先駆的なH.pylori除菌後胃発癌治療がISX発現を抑制するか、胃発がん抑制効果が期待できるかを検証することを目的として研究を推進してきた。 非H.pylori感染の胃細菌叢の存在する胃粘膜に対して胃細菌叢除菌治療を実施し、前後の胃細菌叢の変化と胃炎、腸上皮化生の変化、ISX発現変化を評価する特定臨床研究をCRB承認後開始し、予定症例数の登録と胃細菌叢除菌介入を実施した。2024年度に胃細菌叢除菌後の胃の組織学的評価、胃細菌叢評価を実施し、その後にISX発現が抑制されるか、胃炎が抑制されるか、また胃発がん抑制の代替エンドポイントとして設定した腸上皮化生が抑制されるかを評価する予定である。
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