研究課題/領域番号 |
20K08338
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
打田 佐和子 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (60382074)
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研究分担者 |
LE THITHANHTHUY 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 特任講師 (10572175)
小谷 晃平 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 病院講師 (50711793)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 門脈圧亢進症 / HVPG / 食道胃静脈瘤 / 慢性肝疾患 / 肝線維化 / M2BPGi / 肝弾性度 |
研究実績の概要 |
慢性肝疾患においては肝線維化の進展と伴に門脈圧が上昇し、門脈圧亢進症が出現する。慢性ウイルス性肝疾患では、抗ウイルス療法によりウイルスが制御されると肝線維化は改善するが、それに伴って門脈圧が低下するかどうかは明らかでない。2020年度はまず、肘静脈からの門脈圧(肝静脈楔入圧較差(hepatic venous pressure gradient; HVPG))測定法を確立した。次いで、C型慢性肝疾患に対する直接作用型抗ウイルス薬(DAA)治療前後の門脈圧・門脈圧亢進症として食道胃静脈瘤の変化について検討し、それらを予測する因子を探索した。DAA治療によりC型肝炎ウイルス(HCV)は高率に排除され、肝機能や肝線維化マーカーは改善したが、HCV排除後も門脈圧および食道胃静脈瘤が悪化する症例があった。治療前、治療後(HCV排除後)ともに、M2BPGiおよび肝弾性度は静脈瘤を有する症例で高値であり、HVPGとの相関もあった。M2BPGi、肝弾性度ともに治療後は治療前より低下したが、治療後静脈瘤悪化例では低下が乏しく高値で持続する傾向があった。M2BPGi、肝弾性度は治療前後の静脈瘤存在や治療後悪化予測に有用であったが、それらのみで正確に予測できるには至らず、さらに検討が必要である。さらに別の検討として、肝硬変症例に経直腸門脈シンチグラフィ―を実施し、そこから得られる測定値とHVPG、食道静脈瘤存在および破裂リスクとの相関を検討し、良好な相関を確認した。経直腸門脈シンチグラフィ―も門脈圧および門脈圧亢進症の診断に有効な検査法であることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床的解析についてはおおむね順調に進展し、一部は論文報告もできている。 基礎的解析についても並行して進めている。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度はさらに対象および観察期間を拡大し、肝線維化を含めた組織学的検討と門脈圧および門脈圧亢進症との関係についての検討を進めていく。 また、動物モデルを用いた基礎的解析を進め、門脈圧低下に関わる因子の同定につなげる。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度はコロナ禍のため、学会はweb参加のみであり、旅費は発生しなかった。また、今年度はコロナ禍の状況でも実施可能な臨床データの解析を中心に研究を実施し、学会および論文発表を行うこととした。並行して基礎的解析やその他臨床的解析も行っているが、助成金を使用する研究や解析に関しては来年度以降順次実施していく計画である。
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