研究課題/領域番号 |
20K08341
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
鶴谷 康太 東海大学, 医学部, 講師 (00725377)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | iPS細胞 / 細胞極性 / 毛細胆管 |
研究実績の概要 |
薬物性肝障害(drug-induce liver injury; DILI)は様々な薬剤で発症し得る病態で、肝不全に至る例もあり、基礎疾患の治療の妨げにもなる。また医薬品開発中断の主要因の一つであり、in vitroでDILI発症を正確に予測できれば医薬品開発のための費用は大幅に削減される。肝臓は類洞や毛細胆管を介した物質輸送と代謝の場であり、肝細胞が類洞に面したbasolateral側と毛細胆管に面したapical側の細胞極性を有することが薬物代謝において必須の条件である。かかる極性環境を再現した培養系を構築できるかが、DILI発症予測システムの確立に極めて重要である。本研究では、高い増殖性と多分化能をもったヒト人工多能性幹(iPS)細胞から高機能であり適切な細胞極性を持つ肝細胞を誘導し、肝毒性評価に用いる系の構築を目指す。肝機能、特に細胞極性を誘導可能な候補因子を強制発現するウイルスを作成した。本年度はヒトiPS細胞にウイルスを導入し、候補因子の強制発現下で肝細胞系へ分化誘導し解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度作成したウイルスを用いた候補因子強制発現系にて、2次元培養での評価を行いqPCRによる遺伝子発現や5-CFDAを用いたトランスポーター活性の評価を行い毛細胆管の形成を評価解析を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
ABCBファミリーといったトランスポーターとclaudin-1などの接着分子の蛍光免疫染色にて毛細胆管の形成を確認する。3次元培養においては、凝集体をゲル包埋し、切片にて免疫染色により評価する。さらに、2次元もしく3次元培養のいずれが極性評価系への利便性があるか検討を行う。大きな変化が見られなければ、候補因子のリン酸化の評価を追加する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は物品費が予想より低額となったことと旅費を使用しなかった。次年度使用額は物品費として、培養プラスチック用具や培養試薬として計上を予定する。
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