研究実績の概要 |
薬物性肝障害(drug-induce liver injury; DILI)は様々な薬剤で発症し得る病態で、肝不全に至る例もあり、基礎疾患の治療の妨げにもなる。また医薬品開発中断の主要因の一つであり、in vitroでDILI発症を正確に予測できれば医薬品開発のための費用は大幅に削減される。本研究では高い増殖性と多分化能をもったヒト人工多能性幹(iPS)細胞から高機能であり適切な細胞極性を持つ肝細胞を誘導し、肝毒性評価に用いる系の構築を行った。肝機能、特に細胞極性を誘導可能な因子としてKLF15を見出し、KLF15を強制発現するウイルスを作成し、ヒトiPS細胞に導入した。KLF15遺伝子導入し肝分化へを誘導することで、肝臓の代謝酵素(TAT, CPS1, CYP)の発現が強く誘導できた。また、細胞外マトリクスを用いた3次元培養にて成熟分化誘導することにより薬物トランスポーター(MRP3, OATP1A2, OATP1B1, OATP1B3)の発現が大きく上昇した。
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