これまでの研究から,各TCF-4 isoformの発現量や比が肝癌形質の多彩さを調節していることが示唆されたものの,従来の発現解析法では定量性に限界があった.本研究ではペプチド核酸を用いた新しいPCRシステムで,この限界を克服した.TCF-4JとTCF-4Kとの発現比較では,肝よりもむしろ胃や大腸などの消化管癌においてTCF-4J型が強く発現していることがわかった.また胎児由来不死化肝細胞ではTCF-4Eが特異的に高発現していることもわかった.総じて,TCF-4 isoformのプロファイルは癌の悪性度および臓器特有のWntシグナル活性化状況を反映していることが示唆された.
|