研究課題/領域番号 |
20K08352
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
建石 良介 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (50444089)
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研究分担者 |
中川 勇人 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (00555609)
田中 康雄 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (40422290)
中塚 拓馬 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (50772042)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ゲノム異常 / 個別化医療 / 血中循環腫瘍DNA / 肝細胞癌 / バイオマーカー |
研究実績の概要 |
本研究では血液内を循環している腫瘍由来DNA(circulating tumor DNA, ctDNA)を肝癌の局所治療・動脈塞栓術・分子標的薬などの治療を受けた患者から採取し、そのゲノム異常を統合的に解析し、さらには患者の臨床データと比較することで、ctDNAを用いた肝癌の早期診断や再発予測、治療モニタリング、治療効果の予測アルゴリズムの構築を試みることを目的とする。
今年度は患者血漿から血中循環DNA(cell-free DNA, cfDNA)を抽出し、cfDNAの量的変化による腫瘍の性質や治療効果との関連を検討した。cfDNA量と肝細胞癌の進行度が相関しており、他の因子と独立して予後不良因子であった。また、これまでの少数例の検討で、局所治療・動脈塞栓術・分子標的薬後にcfDNA量が増加することを見出していたが、今年度の約100症例の血漿の解析でも同様の傾向が認められた。特に分子標的薬を使用した症例では、治療後にcfDNAが増加する症例ほど、治療奏功性が高い傾向にあった。
cfDNA中のctDNAの存在確認として肝癌において高頻度にみられる変異であるTERT promoter変異をDroplet digital PCRにて同定することに成功した。少数例の分子標的薬治療後患者の血漿から抽出したcfDNAに対しtarget deep sequenceを行い、肝癌由来の遺伝子変異を検出しえた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床検体の採取は順調に行われており、 cfDNA、さらにctDNAの同定も可能になり、順調に進んでいると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
臨床検体の採取(治療を受けた肝癌患者の血漿及びRFAを実施する患者では、非腫瘍部/腫瘍部生検検体)を継続して行う。ctDNAについて他の遺伝子変異の同定も試み、さらに多数例で治療後血漿を用いた網羅的ゲノムシークエンスを行う。
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