研究課題
本研究は、血液内を循環する腫瘍由来DNA(circulating tumor DNA: ctDNA)を肝癌の局所治療・動脈塞栓術、分子標的薬などの治療を受けた患者から採取し、収量および抽出された遺伝子変異と患者臨床データを統合解析することで、肝癌の早期診断や再発予測、治療モニタリング、治療効果予測におけるctDNAの有用性につき検討するものである。特に治療直後に採取した血漿由来のctDNAに着目して研究を進めている。今年度は下記を実施した。①昨年度約100症例の血漿を採取した。それに加え今年度はさらに追加で50症例分の血漿を採取した。②分子標的薬に加え、免疫チェックポイント阻害剤を使用した患者の血漿の採取を開始した。③分子標的薬を使用した症例において、治療後にcfDNA収量が増加する症例ほど、治療奏功性が高い傾向が得られており、今年度採取した症例においてもその傾向が保たれていた。④droplet digital PCRの手法で、血漿を用いたTERT promoter 変異解析を実施した結果、全症例中約5割で検出可能であった。肝癌組織検体において約6-7割の症例でTERT promoter 変異を有するという既報に遜色ないものであった。
2: おおむね順調に進展している
臨床検体の採取は順調に実施できている。ctDNAの同定は安定してできており、臨床データとの統合解析もできており、順調に進んでいる。
臨床検体の採取(治療を受けた肝癌患者の血漿採取)を継続して実施する。ctDNAの網羅的解析を多数例で実施し、治療奏功性と関わる因子を抽出する。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)
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