研究課題/領域番号 |
20K08358
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
高見 太郎 山口大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (60511251)
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研究分担者 |
山本 直樹 山口大学, 教育・学生支援機構, 教授 (90448283)
松本 俊彦 山口大学, 大学院医学系研究科, 助教 (70634723)
藤澤 浩一 山口大学, 医学部, 講師(寄附講座等) (00448284)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 肝細胞癌 / 骨髄間葉系幹細胞 / 鉄キレート剤 |
研究実績の概要 |
近年の進行肝細胞癌治療は、殺細胞性抗癌剤を主体とする治療から分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤を加えた新たな治療へと変革が進んでいる。しかし、肝機能不良例(Child-Pugh B)の肝細胞癌治療には、限界がある。肝臓領域のアンメット・メディカルニーズのひとつは「分子標的薬投与ができない肝予備能不良例(Child-Pugh B)における切除不能進行肝細胞癌」である。 一方これまで我々は、「新規肝細胞癌治療;抗癌剤耐性進行肝細胞癌に対する鉄キレート剤治療」や「肝臓再生療法;非代償性肝硬変症に対する培養自己骨髄間葉系幹細胞(Mesenchymal stem cell; MSC)投与療法」を開発し臨床実施してきた。そして現在は、非代償性肝硬変症に対して培養自己骨髄MSCを肝動脈投与する「自己完結型肝硬変再生療法」を医師主導治験として実施している。 そこで本研究では、非代償性肝硬変症を背景に持つ進行肝細胞癌に対して「抗癌作用としての鉄キレート肝動注治療」と「肝機能サポートとしての培養骨髄MSC肝動脈投与療法」のハイブリット療法は生命予後を改善させるという作業仮説をラット肝硬変合併肝癌モデルで検証することにより、Proof of Concept(POC)を取得する。 これまでに、ラット肝硬変合併肝癌モデル作出とハイブリッド治療法の有効性評価を行った。具体的には、choline-deficient L-amino acid-defined(CDAA)食の飼育28週時点で高率に肝硬変と肝癌を合併することが確認できているラット肝硬変合併肝癌モデルで、(1)CDAA食のみ、(2)CDAA食+同種同系ラットGFP陽性骨髄MSC投与(MSC)、(3)CDAA食+鉄キレート投与(DFO)、(4)CDAA食+MSC投与+DFO投与を行い、これまでに肝発癌動態および肝線維化評価を完了している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和2年度に実施予定のラット肝硬変合併肝癌モデル作出とハイブリッド治療法の有効性評価を行った。 具体的には、choline-deficient L-amino acid-defined(CDAA)食の飼育28週時点で高率に肝硬変と肝癌を合併することが確認できているラット肝硬変合併肝癌モデルで、(1)CDAA食のみ、(2)CDAA食+同種同系ラットGFP陽性骨髄MSC投与(MSC)、(3)CDAA食+鉄キレート投与(DFO)、(4)CDAA食+MSC投与+DFO投与を行い、これまでに肝発癌動態および肝線維化評価を完了しているため。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度は、【実験2:ハイブリッド治療法の治療メカニズムの解明】を計画に従って実施する。 具体的には、癌部および非癌部のSAGEデータのGene ontology(GO)解析を基盤にするが、骨髄MSCや鉄キレートによる抗炎症や酸化ストレス抑制効果を想定し、保存血清でBio-Plexによるサイトカイン解析やFree Radical Analytical System4によるラジカル解析等により、Mode of Action(MOA)を解明する。
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