研究課題
膵体尾部癌における術前化学療法が癌のリンパ管侵襲に与える影響については良く分かっていない.本年度はpilot studyとして膵体尾部原発の浸潤性膵管癌の手術症例(n=26)を後方視的,臨床病理学的に解析し,術前化学療法が癌のリンパ管侵襲本数に与える影響を検討した.リンパ管侵襲本数の測定には病理組織標本を作製し,hematoxylin and eosin染色とともに,Elastica-van Gieson染色,D2-40(podoplanin)染色,prox1染色,CD31染色を用いた.症例は男12例,女14例,年齢の中央値は75(最小値57,最大値83),術前化学療法施行例が19例,Stage Iが9例,Stage IIが17例(Stage IIAが9例,IIBが8例,),リンパ節転移陽性例が8例,リンパ管侵襲陽性例が7例であった.術前化学療法の有無にかかわらず, Stage IおよびStage IIAではリンパ管侵襲は認められなかった.癌の最大割面におけるリンパ管侵襲の本数の中央値は0(最小値0,最大値16)であった.リンパ管侵襲本数の中央値は術前化学療法未施行例では0(最小値0,最大値16),術前化学療法施行例では0(最小値0,最大値16)であった.膵体尾部癌において術前化学療法施行群では未施行群よりもリンパ管侵襲本数が少ない傾向が示唆された.しかしながら,本年度の解析症例数は統計学的検定を行うための十分なサンプル数に達していなかったため,術前化学療法の有無がリンパ管侵襲本数に与える影響については明らかにできなかった.
4: 遅れている
膵体尾部癌の解析症例数が統計学的検定を行うための十分なサンプル数に達していなかったため,術前化学療法の有無がリンパ管侵襲本数に与える影響を明らかにできなかった.
体尾部原発の浸潤性膵管癌の解析症例数をさらに増やし,術前化学療法が癌のリンパ管侵襲本数に与える影響やその病態,予後との関連性等を明らかにしていく予定である.
本年度内の物品の購入が研究当初の予定よりも少なかったことが主な理由と考えられる.次年度は必要な物品・消耗品の購入費,および研究協力者への謝金等として研究費を使用する予定である.また,研究成果の学会発表や論文の執筆から出版までの過程でかかる諸費用として研究費を使用する予定である.
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件)
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