研究課題
胃MALTリンパ腫(MALT)症例の胃体部、幽門部、病変部の生検組織を収集し、16Sアンプリコンシーケンスメタゲノム解析法による胃内細菌叢解析を行った。培養法でHelicobacter suis(H. suis)が検出された3症例では、 H. suisが高い占有率を示したが、病変部で検出されない症例も存在した。占有率が最も高いのはHelicobacter属であり、他にStreptococcus属菌、Veillonella属菌、Fusobacterium属菌、Prevotella 属、Haemophilus属菌、Alloprevotella属菌、Prevotella7属菌の占有率が高かった。除菌治療後に、細菌叢解析が行われた1例は、H.suisが検出限界以下となり、特にStreptococcus属菌の占有率が上昇していた。MALT症例をH. pylori感染(8例)、H. suis感染(3例)、非感染(11例)の3群にわけて、治療前後の胃内細菌叢を比較した。chao-1指数及びシャノン指数の評価により、H. pylori及びH. suis感染者のα多様性はいずれも低く、感染のないMALTの発症は胃内細菌叢の構成に大きく影響しないことが明らかになった。さらに、UniFrac距離およびUnweighted UniFrac距離を比較して、H. pylori感染者の胃内細菌叢は治療後の胃内細菌叢、非感染MALT症例の胃内細菌叢とその治療後群と有意に異なる細菌叢であった。今後、H. suis感染者においても同様の解析を実施する必要性が示唆された。研究期間全体を通じて、H. suisはH. pyloriと同様に胃内ディスバイオーシスを生じさせ、MALTの病態に関与していることが示唆された。そのため胃MALTリンパ腫の治療決定にはH. pyloriとH. suisを精査する必要がある。
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