研究課題/領域番号 |
20K08367
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
高橋 秀明 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (60367323)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 肝発がん / HBV / 核酸アナログ治療後 / microRNA / プロファイル |
研究実績の概要 |
研究代表者らはこれまでに、肝組織のmicroRNA(miRNA)のプロファイルの変動と肝発がんリスクの間に一定の相関があることを確認した。我々は予備的解析において、肝組織におけるmiRNA発現プロファイルの時間的変動を比較検討した結果、治療後長期間にわたり発癌しなかった群『非発癌群治療後』のmiRNAプロファイルは、治療前とは明らかに変化しており、『正常肝』に最も近い発現プロファイルとなることが示された。 発癌した症例群における治療前のmiRNA発現は、正常肝から最もかけ離れており、かつ治療後(非癌部)も正常化には至っていないことが明らかとなった。このことから、『発がん群治療前』のmiRNAプロファイルの蓄積・持続が、肝発がんへと誘導している可能性が示唆された。 さらに発癌リスク因子として同定した特定のmiRNAでの定量的PCRのプロファイル解析ではその傾向は一層明らかとなり、『正常肝』以外は全て従来のくくりでは『慢性肝炎』であるものの、『発癌群治療前』は検体間での発現差が小さく、かつ『正常肝』および『非発癌群治療後』とは明らかに異なっていた。さらに発癌リスク因子として同定した特定のmiRNAでの定量的PCRのプロファイル解析ではその傾向は一層明らかとなり、『正常肝』以外は全て従来のくくりでは『慢性肝炎』であるものの、『発癌群治療前』は検体間での発現差が小さく、かつ『正常肝』および『非発癌群治療後』とは明らかに異なっていた。 上記の結果を、現在、多数の検体で確認すべく研究を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は肝組織の採取という点から、検体の集積が多臓器よりもハードルが高いことが問題であり、ある意味検体を確保することが本研究の根幹を成しているとも思われる。現在、多施設より検体の採取に努めている状況である。 2020年初頭より始まった新型コロナウイルスのパンデミックは、日常診療や生活様式を大きく変え、当院もクラスターの発生などにより多くの労力を要した。また、研究の打ち合わせのための面談・面会も大きく制約されてしまった背景があり、検体確保という点に加えたその他の点でも、非常に厳しい一年であった。 可能な限り研究本体の内容にウェートが置けるよう、環境を改善できるよう、今後はWebでの面談・面会も活用しつつ対応していきたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
上記にも記載したが、本研究は肝組織の採取という点から、検体の集積が多臓器よりもハードルが高いことが問題であり、ある意味検体を確保することが本研究の根幹を成しているとも思われる。現在、多施設より検体の採取に努めている状況である。 また、集積しつつある検体を用いて、予備的実験での結果が、大規模な解析でもValidationできるかを今後確認していく予定である。さらには新たなmicroRNAの探索や、細胞株などを用いた機能解析を引き続き行っていく方針である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究は肝組織の採取という点から、検体の集積が多臓器よりもハードルが高いことが問題であり、ある意味検体を確保することが本研究の根幹を成しているとも思われる。現在、多施設より検体の採取に努めている状況である。2020年初頭より始まった新型コロナウイルスのパンデミックは、日常診療や生活様式を大きく変え、当院もクラスターの発生などにより多くの労力を要した。また、研究の打ち合わせのための面談・面会も大きく制約されてしまった背景があり、検体確保という点に加えたその他の点でも、非常に厳しい一年であった。可能な限り研究本体の内容にウェートが置けるよう、環境を改善できるよう、今後はWebでの面談・面会も活用しつつ対応していきたいと考えている。 検体数がそれほど増えていない状況で、昨年度は前年からの試薬などを使用することにより実験を行っていたことや、バイオインフォマティクスを用いた解析などに多くを要したこと、学会などへの参加も控えていたことから、新たな資金の使用は行わなかった。 次年度は研究計画を予定通り遂行していければと考えている。
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