研究課題
がん免疫療法は多くの癌腫において有効性が示され、がん治療戦略を大きく変化させた。一方で、免疫関連副作用(immune-related adverse event: irAE)と呼ばれる副作用のリスクがあり、大腸炎を呈する消化管 (Gastrointestinal: GI) irAEの分子機序は不明な点が多い。臨床症状および内視鏡所見において、GI irAEと潰瘍性大腸炎(UC)は類似し、GI irAEはUCの1つのサブタイプである可能性がある。大腸粘膜と糞便を採取した。次世代シーケンサー(whole transcriptome, 16S sequencing)を用いて、GI irAEとUCの遺伝子発現プロファイルおよび腸内細菌叢を比較検討した。またinteractome解析によりGI irAEにおける宿主と腸内細菌の相互作用を考察した。コントロールと比べて、T細胞を活性化する働きのあるケモカインCXCL10、CXCL11の発現がGI irAEにおいて亢進していた。一方で、腸上皮の恒常性維持に関わるPDCD6IPの発現がUCにおいて低下していた。炎症粘膜では、遺伝子発現および腸内細菌叢において、GI irAEとUCは類似性を認めた。腸内細菌叢と遺伝子発現プロファイルの統合解析により、7つのclusterに分けられ、更にこれらは2つのmega-clusterに分けられた。機能解析では、免疫チェックポイント阻害薬に対する良好な反応は DNA repair やcell cycleが相関し、逆にinnate immune response、NFAT、IFN signaling pathwaysが負に相関することがわかった。炎症による2次的な腸内細菌叢の変化を除外するため、非炎症粘膜での検討を行い、Fusobacterium sp.の増加ががん免疫療法の治療効果と正の相関を示した。
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