研究課題
B型肝炎ウイルス(hepatitis B virus: HBV)の感染肝細胞核内には、完全閉鎖型二本鎖cccDNA(covalently closed circular DNA: cccDNA)が形成される。慢性B型肝炎・肝硬変に対する治療として、インターフェロン(IFN)および核酸アナログ製剤が使用され、肝炎重症化阻止、肝線維化進展抑制に一定の効果を上げているが、いずれもcccDNAに直接抑制作用を有せず、免疫抑制療法および化学療法でのHBV再活性化や発がんのリスクは残存したままとなっている。近年、抗HBV効果を有する宿主制限因子がHBVにより制御されている事が報告されているが、ウイルス側戦略の全容解明にはほど遠く、分子機序解明に向けた取り組みは急務である。本研究は、抗HBV作用を有する新規宿主制限因子の同定および機能解析を目的とする。本研究により、将来的に抗HBV宿主制限因子をターゲットにした新規治療法の開発と、HBV再活性化予防への貢献、肝臓癌発生・進展および再発阻止に寄与する癌予防医学への貢献が期待される。2021年度は、2020年度に作成したU2OS細胞を起源とし、薬剤誘導性にHBxにMycタグを付与した蛋白を発現制御できる細胞株U2OS-Myc-linker-HBx-27細胞を用いて、HBxにより影響を受ける新規宿主因子の探索を目指して、SILAC法を用いたProteome解析を行った。HBx蛋白により影響を受ける宿主因子を検討することにより、本研究の結果は基礎的解析にとどまらず、HBV cccDNAの排除に関与する宿主因子を増強する新規化合物の探索に重要な役割を果たすと考えられており、非常に特色のある研究になると思われる。
2: おおむね順調に進展している
細胞株の樹立から、SILAC法を用いたProteome解析まで順調に経過している。
HBV蛋白(HBx蛋白)発現調節細胞株を作成し、HBV蛋白非発現群及びHBV蛋白発現群より抽出した成分をmicroarrayやプロテオームを用いた網羅的手法を用いて半比較定量的に解析することにより、HBx蛋白に関与する可能性のある宿主因子の同定を行う。
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