研究課題/領域番号 |
20K08371
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
森川 賢一 北海道大学, 医学研究院, 客員研究員 (60384377)
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研究分担者 |
坂本 直哉 北海道大学, 医学研究院, 教授 (10334418)
須田 剛生 北海道大学, 大学病院, 特任助教 (20447460)
武井 則雄 北海道大学, 医学研究院, 助教 (50523461)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | HBV / 宿主因子 / HBx |
研究実績の概要 |
B型肝炎ウイルス(hepatitis B virus: HBV)の感染肝細胞核内には、完全閉鎖型二本鎖DNA(covalently closed circular DNA: cccDNA)が形成される。慢性B型肝炎・肝硬変にはインターフェロン(IFN)および核酸アナログ製剤が使用され一定の効果を上げているが、いずれもcccDNAには影響せず、免疫抑制療法および化学療法でのHBV再活性化や発がんのリスクは残存したままとなっている。本研究は、cccDNAを標的とした抗HBV作用を有する新規宿主制限因子の同定および機能解析を目的とした。 我々はU2OS細胞を起源とし、薬剤誘導性にHBxにMycタグを付与した蛋白を発現制御できるU2OS-Myc-linker-HBx-27細胞株を樹立した。U2OS-Myc-linker-HBx-27細胞を用いて、HBxにより影響を受ける新規宿主因子探索のため、SILAC法を用いたProteome解析を行った。結果、HBVの宿主制限因子であるSMC5/6 (structural maintenance of chromosomes 5/6) を同定した。SMC5/6はHBxが宿主因子のDDB1 (DNA damage-binding protein 1)と結合することにより分解されるため、HBxとDDB1の結合阻害を目的にDDB1の各サブユニットとHBxを用いた免疫沈降実験により、DDB1内の既知の部位とは異なる領域に新規HBx結合領域が存在することを確認した。また、新規結合部位を有する合成ペプチドを用いて、HBx-DDB1の結合阻害作用を確認した。 本研究により、将来的に抗HBV宿主制限因子をターゲットにした新規治療法の開発と、HBV再活性化予防への貢献、肝臓癌発生・進展および再発阻止に寄与する癌予防医学への貢献が期待される。
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