研究課題/領域番号 |
20K08375
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
新倉 量太 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (90625609)
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研究分担者 |
早河 翼 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (60777655)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 胃癌幹細胞niche / 胃内細菌叢 / Fusobactrium / 胃癌 |
研究実績の概要 |
胃癌患者127人のRNAシークエンスデータを詳細に解析した。さらに16srRNA解析を行い、胃内細菌叢の解析も行った。消化管癌との関連が示唆されているFusobacterium属陽性患者は96人(75.6%)であった。幹細胞nicheと関連するシグナル解析を行った。Fusobacterium属陽性患者はFusobacterium属陰性患者と比べて、CXCL1、CXCL2、CXCL10、CCL20、CCL22シグナルの増強が認められた。他のシグナル解析も同様に実施した。Fusobacterium属陽性患者はFusobacterium属陰性患者と比べて、IL7、IL8、IL23、PDL1は、Fusobacterium属陽性患者はシグナルの増強が認められた。さらに遺伝子変異の解析を行った。Frame shift、Splice site、Non sense、Missence変異において、Fusobacterium属陽性患者は陰性患者と比べて有意に変異の増加が明らかになった。これらの結果から、特定の胃内細菌が、幹細胞nicheに影響を及ぼしている可能性が示唆された。 その他、別の患者コホートを用いて、ヘリコバクター・ピロリ菌除菌後胃癌と抗生剤使用の関連について解析を行った。抗生剤使用患者は、抗生剤非使用患者と比べて、除菌後胃癌の発癌リスクが有意に減少していることを明らかにした[現在、論文投稿中]。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ピロリ菌除菌後胃癌に焦点を当てた、胃癌幹細胞nicheと胃内細菌叢の関連に関する、遺伝子変異の解析がすでに完了している。胃癌細胞株、遺伝子改変マウスモデルに対するFusobactrium菌投与によるシグナル解析もおおむね順調に進展しており、論文報告の準備を行っているため。
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今後の研究の推進方策 |
今後も胃内細菌が胃癌幹細胞nicheに与える影響に関する検討を継続していく。オルガノイドモデルや遺伝子改変マウスモデルを用いた、遺伝子発現の変化について、経時的な解析を追加し、幹細胞の動態解析を行うことを予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
RNAシークエンス解析の費用が予定金額よりも低くなったため。
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