SCAP/SREBPによる肝外胆管癌促進メカニズムを明らかにするため、in vitro実験系としてPTENflox/flox;TGFbR2flox/floxマウスおよびPTENflox/flox;TGFbR2flox/flox;SCAPflox/floxマウスから肝外胆管癌オルガノイドを樹立し、Cre発現レンチウイルスを用いて遺伝子改変を誘導した(それぞれPTオルガノイド、PTSオルガノイドと命名)。PTオルガノイドに比較して、PTSオルガノイドは優位に増殖が抑制された。さらにPT-KOオルガノイドとPTS-KOオルガノイドを用いてRNA-seqを行った結果、PTS-KOオルガノイドでは予想通り脂質生合成経路が抑制されるとともに、細胞増殖に関連する経路が抑制されていた。一方PTオルガノイドではferroptosis経路のenrichmentとともに、ferroptosisを抑制する働きを持つ遺伝子の発現が上昇していた。すなわちPTオルガノイドではPI3K経路の活性化に伴い脂質由来酸化ストレスが蓄積するが、ferroptosis抑制遺伝子の発現上昇によって細胞死を回避している可能性が考えられた。
|