研究課題
研究代表者らは独自に構築したクローン病小腸粘膜評価法により小腸に病変が残存している症例が多いことを発見し、これに基づき小腸特異的な粘膜障害機構が存在する可能性を考え、本研究を立案・推進している。本年度も当初研究計画に従い、クローン病体外モデルの構築を進め、これに基づく同疾患における小腸粘膜再生機構・粘膜治癒機構の解明を目的として研究を実施した。その結果、以下の様な成果を得ている。1)クローン病小腸病変の粘膜治癒機構について、内視鏡およびMRI等を用いた独自のクローン病粘膜評価法に基づき、粘膜深層との関係について検証を行った。この結果、既存の生物学的製剤においては高い濃度を維持することで、粘膜全層における炎症の解除が得られること、これにより予後の改善が得られることが示された。2)クローン病小腸病変等より得られた内視鏡生検組織よりオルガノイドを樹立する際に適切な培養条件等について、最適化に関する検討を進めた。この結果、適切なレベルでWntシグナルを維持すること、マトリゲルに類似したマトリックス環境を維持することが重要であることが確認された。一方、大腸由来生検組織からオルガノイドを樹立する際と類似した培養環境では初期培養の継続が困難となる例があることが確認された。本年度得られた知見を基に、治療薬や病型等により層別化を行ったクローン病患者由来の小腸オルガノイドについて解析を進めることにより、同疾患において小腸病変の成立・局在を規定する要因・LRG等の血清バイオマーカー等と小腸粘膜の全層性の寛解を規定する因子等が明らかとなることが期待された。
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Digestive Endoscopy
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Journal of Crohn's and Colitis
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