研究課題/領域番号 |
20K08387
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
六車 直樹 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 准教授 (90325283)
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研究分担者 |
高山 哲治 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (10284994)
佐野 茂樹 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学域), 教授 (20226038)
佐藤 康史 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 特任教授 (80343383)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 膵がん / がん幹細胞 / オルガノイド |
研究実績の概要 |
研究計画に基づいて令和2年度は以下の実績を得た。徳島大学病院で新規に膵腫瘍(膵管内粘液性腫瘍IPMNを含む)と診断した患者を対象に、EUS-(Fine Needle Aspiration)FNAあるいはERCPで腫瘍組織(膵液中の腫瘍細胞を含む)を採取した。採取した細胞/組織を直ちに消化培地で約10分間、撹拌しながらインキュベートし、解離させた。解離した細胞および組織断片をマトリゲルに懸濁し、プレーティングした。EGF、Noggin、Rspondin1などを含む培地調整により増殖因子依存性を調べ、最小培養液においてスフェロイド形成が確認されたオルガノイドを候補として保管した。2021年3月末時点において5例の膵腫瘍オルガノイドを確立した。いずれも良好な発育を示しており、研究室に保存している。 5-6週齢のヌードマウス(Balb/c nu/nu)を用いて、膵がん幹細胞の代替腫瘍細胞としてヒト消化管間質腫瘍をマウスの背部に皮下移植し、概ね3-4週間後の腫瘍が5-10mmに発育した際に蛍光物質であるIR700を標識したc-KIT抗体を尾静脈より注射してIVISで観察し、集積ピークを確認した。IR700標識c-KIT抗体の集積ピークにあわせて近赤外線照射によるレーザー治療を行った。1回照射量は700Jで、単回治療を行った。4週後に腫瘍サイズを測定しコントロール群と比較して治療効果を評価した。また、AlexaFluor標識抗c-KIT抗体で分子イメージングを行い、遺残腫瘍の有無を評価した。治療群では腫瘍の完全消失が得られた。また、従来よりも短時間で効率的な治療が可能であることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナウイルス感染症の影響により紹介患者症例の減少、検査の遅延、他院への協力要請の制限から膵癌オルガノイドの蓄積がやや遅れている。それに伴い、ターゲットとする分子マーカーの選択にも時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
代替腫瘍モデルを用いて光免疫治療の有効性については既に評価可能であった。今年度以降は症例集積の加速化が期待でき、本来の膵がん幹細胞モデルにおける分子マーカー特定とオルガノイドを用いた小動物実験に移行できると考えている。
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