我々はこれまでに肝細胞癌においてPKR阻害剤 (imidazolo-oxindole)が腫瘍の増殖を抑制することを示した。本研究ではPKR阻害剤の標的蛋白質として、解糖系の主要酵素であるHexokinase-2を同定した。PKR阻害剤添加により、肝癌細胞株でHK2の発現が減少、またPKRとHK2はPKRリン酸化依存的に直接結合した。PKR阻害剤は解糖系抑制により細胞内ATP産生を低下させた。さらにHK2とPKRの過剰発現により腫瘍増殖が相加的に増加した。肝細胞癌ではPKR-HK2 axisが解糖系の促進により腫瘍増殖が亢進させており、肝細胞癌における新規治療標的となる可能性がある。
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