免疫チェックポイント阻害薬投与により心筋炎を生じた症例の免疫チェックポイント阻害薬投与前と心筋炎発症時の血清中の自己抗体をプロテオームアレイを用いて検出した。これまでに心筋炎を含む種々の心疾患に関与することが報告されている自己抗体について検討を行ったところ、いくつかの既知の心筋構成蛋白にたいする自己抗体が心筋炎を生じる前から高値であることがわかった。また、これまでに心筋炎と関連が報告されていない蛋白に対する自己抗体も複数検出することができた。 さらに、免疫チェックポイント阻害剤の投与やステロイド治療により生じたサイトカインプロファイルの変化をサイトカインアレイを用いて検討した。心筋炎発症時には免疫チェックポイント阻害剤投与前と比べ、FGF-4、NT-4が上昇し、IL-7、CCL22、IGF-1、TIMP-1が減少していた。ステロイドパルス治療により心筋炎発症時よりIL-4、IFN-γ、CCL17、CXCL13、FGF-4、FGF-6、CX3CL1等が有意に減少し、IGF-1 が有意に増加していた。また、心筋炎を発症しなかった患者と心筋炎を発症した患者を比較すると、心筋炎発症した患者では免疫チェックポイント阻害薬投与前から有意に血中炎症性サイトカイン量が高く、また免疫チェックポイント阻害薬投与後早期のtype-I interferonの下流のサイトカインの増加も顕著であった。
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