研究課題/領域番号 |
20K08419
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
飯嶋 賢一 順天堂大学, 医学部, 准教授 (20625587)
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研究分担者 |
和泉 大輔 新潟大学, 医歯学系, 助教 (30529699)
八木原 伸江 新潟大学, 医歯学総合病院, 特任助教 (70750347)
南野 徹 新潟大学, 医歯学系, 教授 (90328063)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 心臓突然死 / 心室細動 / カテーテルアブレーション |
研究実績の概要 |
心室内興奮伝導における局所伝導ブロックによる波面の断片化は「Wavebreak」と呼ばれ、心室細動(VF)の開始と持続に不可欠である。先行研究では、右室心筋と左室心筋の接合部の内、特にその前方(ARVI)がWavebreakの好発部位であることが示されている。我々は、新しいVFアブレーション戦略として、ARVIに沿った高周波アブレーションの有効性と安全性を評価することを目的として、ブタを用いた非臨床試験を実施した。正常ブタ(n=12)において、ARVIに沿った線状アブレーションを臨床診療で既に使用されているイリゲーション型アブレーションカテーテルを用いて行った。8頭のブタでは心臓を露出させ、心外膜表面に直接アブレーションを行った。電気刺激によるVF誘導の発生率をアブレーション前後で比較した。残りの4頭のブタでは、な従来の心外膜アプローチ法により治療を行い、中期的な効果と合併症を評価するために1ヵ月間飼育した。結果、急性期の実験では、VF誘導の発生率は7/8(88%)から2/8(25%)に有意に減少した。急性合併症は観察されなかった。中期評価では、処置後1ヶ月間、特段の合併症なく生存し、1か月後の検討では4頭中3頭(75%)でVFは誘発されなかった。以上の結果からARVIに沿った解剖学的線状アブレーションが、重大な合併症を伴わずにVF誘導の発生率を低下させることが明らかとなり、VFアブレーションの有望かつ実行可能な戦略であることが示唆された。これらの結果について、日本循環器学会学術総会(2021年)や第40回国際心臓研究学会におけるシンポジウム(2023年)などで公表した。現在、ヒトにおける当該治療の有効性と安全性に焦点を当てた臨床試験(治験)の準備を進めており、近日中に開始できる状況となっている。
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