現在、HOIL-1L欠損症における拡張型心筋症発症に関する研究の報告は皆無であるが、ここまでの本研究で得られているデータからは、細胞内アミロペクチン蓄積・アポトーシス・自己炎症と拡張型心筋症発症との関わりだけでなく、心筋細胞の分化成熟異常と拡張型心筋症発症との関わりについて結果が得られており、極めて新しい知見である。多くの拡張型心筋症は単一遺伝子病としてではなく複合的な要素が関連して発症することが知られている。単一の遺伝子異常で、この様に様々な側面から拡張型心筋症発症機序解明について研究が可能である可能性が高く、多くの拡張型心筋症患者の予後改善に結びつく結果が期待される。
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