研究実績の概要 |
我々が近年確立した洞結節細胞マーカ由来のdual reporter(HCN4並びにShox2)遺伝子を搭載したヒトiPS細胞から心筋分化誘導し、全細胞の70%が洞結節細胞(SAN)と同等の自動能活動電位を有していた。しかし残りの30%は心房および心室型の自動能であった。そこで機械学習を用いてSANの細胞を形態から選別できるかを課題として研究を行ってきた。最終年度は遺伝子搭載ヒトiPS細胞由来ペースメーカ細胞(SAN)と非ペースメーカ細胞(non SAN)の自動能活動電位と細胞形態のデータセットの一部を正解画像として深層学習を実施した。また残りのデータセットを用いてvaridationを行った。その損失関数を求めたところ一定レベルに収束し、また accuracy, recall, specificity, precision はそれぞれ0.6472±0.0687, 0.5933±0.0986, 0.6899±0.1364 and 0.6673±0.0731であった。一方で人のボランティアのそれぞれは0.5036±0.0909, 0.4429±0.1505, 0.5643±0.1277, 0.5004±0.1066であり、明らかに機械学習でのパラメーターが上回った。本研究を通して、ヒトiPS細胞由来ペースメーカ細胞は形態に特徴を有し、二値化モデルを用いることでペースメーカ細胞を選別でき、その正確性はヒトの選別能力を有意に上回ることが確認された。一方で推定領域モデルを用いた機械学習では正解率を有意に改善出来なかった。以上から二値化モデルを用いた機械学習は遺伝子搭載ヒトiPS細胞由来ペースメーカ細胞の形態を認識していることが判明し、今後ペースメーカ細胞の純化に利用できる可能性が示された。
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