研究成果の学術的意義や社会的意義 |
アントラサイクリン系抗がん剤(代表薬剤:ドキソルビシン, DOX)は多様な癌腫に古くから用いられている抗がん剤であり、 現在でも卵巣癌, 乳がん, 悪性リンパ腫など多くの癌腫に対する標準治療薬である. しかし、DOXは総投与量依存性に心機能障害(心毒性)を生じ, その終末像であるドキソルビシン心筋症は極めて予後不良であることから, ドキソルビシン心毒性の病態の理解とその克服が目指されてきたが、今だ解決には至っていない。ドキソルビシンによる心筋傷害の分子機序の解明により治療ターゲットが明らかとなることで、多くの抗がん剤治療の患者が副作用としての心毒性を克服し、予後改善につながることが期待される。
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