研究分担者 |
田村 功一 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (40285143)
明石 嘉浩 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (40350615)
阿古 潤哉 北里大学, 医学部, 教授 (60292744)
海老名 俊明 横浜市立大学, 附属市民総合医療センター, 准教授 (60336568)
伊苅 裕二 東海大学, 医学部, 教授 (70271567)
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研究実績の概要 |
神奈川県では県全体を網羅する神奈川循環器救急レジストリー(K-ACTIVE)を行っているが、病院前12誘導心電図 (PHECG)実施地区と未実施地区が存在する。本研究では、本邦におけるPHECG使用による全虚血時間短縮の程度や予後改善効果、また記録判読のみとそれに伝送を加えることで差があるかを解析し、PHECGを普及させることを目的とした。 救急車により直接登録医療機関に搬送されたSTEMI症例2035例を、PHECGを記録の有無(PH)、循環器内科医の初期対応の有無(Cardiologist)で4群に分類し、D2B (Door to balloon) 時間、FMC (first medical contact) to Door時間、院内死亡率を検討した。PH(+)Cardiologist(+)987例、PH(+)Cardiologist(-)211例、PH(-)Cardiologist(+)610例、PH(-)Cardiologist(-)227例であった。FMC to Door時間は、+/+, 24 min; +/-, 25 min; -/+, 24 min; -/-, 24 minと4群間で差はみられなかった。D2B時間は、+/+群で最短であった(+/+ , 65 min; +/-, 80 min; -/+ , 69 min; -/-, 88 min; p<0.0001)。院内死亡率は、-/-群で最多であった(+/ + , 3.9%; +/-, 2.4%; -/+ , 5.8%; -/-, 11.9%; p<0.0001)。 以上より、PHECG記録に加えて循環器内科医の初期対応が、STEMI患者のD2Bを短縮し院内死亡率は低下させる可能性がある。コロナ禍の影響で症例登録がうまく進まず、またPHECGの伝送率も思うように進まず伝送の有用性の評価にまでは至らなかった。
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