研究課題/領域番号 |
20K08438
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
星賀 正明 大阪医科大学, 医学部, 教授 (90309154)
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研究分担者 |
鈴木 哲 関西大学, システム理工学部, 准教授 (50306502)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 右心不全 / 右心機能 / うっ血 / 医工連携 / 人工知能 |
研究実績の概要 |
頸静脈波形記録は、特に心不全診療において有用であると考える。心不全の病態、例えば収縮が保たれた心不全において、拡張障害を伴うか否か、等を検知し、治療に活かす利用法を考えた場合には、在宅診療での活用も多いと想定される。従って、頸静脈波形をできるだけ簡便に検知し、必要な情報を表示する方法が望ましい。本プロジェクトでは、特に心不全例において従来の圧トランスデューサー法および新規マイクロ波レーダーを用い、頸静脈波形記録の集積を行い、機械学習法を含む解析で、臨床的意義および自動診断化を目指した。新規マイクロ波レーダー法による頸静脈波形記録法の検証は、主に健常例を用いて行い、文献1として英語論文をして発表した。当院の心不全例について、レジストリによる臨床データの蓄積を行った。その過程で、心不全レジストリデータを用いて、英語論文の発表を行なった。中でも、右心不全やうっ血といった頸静脈波と関連深い右心機能をみた心不全レジストリ研究を複数発表し、今後の発展の基盤形成を行った。 頸静脈波形の記録を循環器入院患者、特に心不全入院及び心房細動の治療目的入院において約300例に行った。右室拡張障害を示唆する波形パターン(y谷がx谷よりも深い)は、高齢者、心房細動患者に多い事が示された。心房細動はカテーテル治療(心筋焼灼術:カテーテルアブレーション)によって正常洞調律に復する事ができる。心房細動から正常洞調律に移行するこの前後で頸静脈波形の記録を行ったところ、右室拡張障害パターンが消失したものとそのまま継続する2群が存在する事がわかった。今後、この様な例の有用な表示法、診療での活用法について検討を行っていく計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
1年間で約200例の頸静脈波形記録を行い、その患者背景パラーメータも入手した。機械学習の解析については、コロナウイルス感染拡大の影響で共同研究者との十分な検討の機会が少なく、進捗が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
さらに頸静脈波形記録と臨床背景データの蓄積を進め、そのデータを機械学習による解析を行いたい。また臨床的意義の創生、エビデンスの発表が重要であり、臨床研究の成果を随時英語論文として発表していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により、機械学習の遅れが生じ、また学会発表の機会が乏しかったため、次年度使用額が生じた。次年度は、頸静脈波形記録の集積を進め、その機械学習による解析を行うことと学会等での発表のための費用に使用する予定である。
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