研究課題/領域番号 |
20K08444
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
大辻 浩 金沢大学, 医学系, 協力研究員 (70581651)
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研究分担者 |
岡田 光 金沢大学, 医薬保健学総合研究科, 特任助教 (50788916)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 心臓リモデリング / Semaphorin 6A / 線維化 / 心筋梗塞 / リンパ管新生 |
研究実績の概要 |
心臓では、圧・容量負荷や炎症などの負荷が心臓リモデリングを引き起こし、心拡大、線維化が生じることで心不全が進行する。心筋梗塞ではリンパ管の回収機能が障害されることで心臓リモデリングが促進することが明らかになっている。申請者らは肝線維化を抑制するSemaphorin 6A (Sema6A)を同定し、更に予備実験でSema6Aが肝類洞内皮細胞、心臓のリンパ管内皮細胞に発現していることを明らかにした。肝類洞内皮細胞はリンパ管内皮細胞と類似の形質を有していると考えられており、「心臓においてSema6Aはリンパ管内皮細胞を介してリンパ管新生を促進することで心臓リモデリングによる線維化を抑制するのではないか」との学術的問いの下、研究計画を立案した。本研究では①マウス心筋梗塞モデルを用いた実験、②細胞株を用いた実験、③一細胞遺伝子発現解析を行い、リンパ管新生促進を介したSema6Aの心臓リモデリング抑制効果とその作用機序を明らかにする。 2020年度はSema6Aの心臓リモデリング抑制効果とその作用機序を明らかにするために浸透圧ポンプによるSema6A精製蛋白投与マウス、脈管特異的Sema6Aノックアウトマウス(Lyve-1、CDH5 (VE-カドヘリン)発現細胞におけるSema6Aノックアウト)、Sema6Aの受容体であるPlaxnA2ノックアウトマウスに対して冠動脈を結紮し、心筋梗塞モデルマウスの作成を行った。1、2、4、8週後に心臓超音波検査を行い、心拡大、心収縮能の評価を行った。8週後に屠殺し、体重・心重量・肺重量を測定、採血、心サンプル回収を行った。Sema6A精製蛋白を十分量確保できたため、現在は浸透圧ポンプによるSema6Aが心筋梗塞後リモデリングに与える影響を上記方法にて解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
理由 遺伝子改変マウス繁殖やSemahorin 6A生成蛋白作成に予想より時間がかかり進捗状況はやや遅れている。また、心筋梗塞作成マウスモデルの死亡率が想定より高く、必要サンプル数を確保するのに時間がかかっている。
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今後の研究の推進方策 |
リンパ管特異的Sema6Aノックアウトマウス(Stabilin-2発現細胞におけるSema6Aノックアウト)は現在繁殖中であるが、2022年度には心筋梗塞モデルを作成し、リンパ管由来Sema6Aの心筋梗塞後リモデリング抑制効果を評価する。浸透圧ポンプによるSema6A精製蛋白投与心筋梗塞モデルに関してはタイムコースをとり、リアルタイムPCR、RNAseq解析を行い、関与しているシグナルを同定し、評価する予定である。また、Sema6Aの心臓リモデリングに対する作用を明らかにするためにリンパ管内皮細胞株に対してSema6A精製蛋白投与を行い、炎症・線維化・リンパ管関連因子遺伝子発現評価、細胞上清中のタンパク分泌に関して評価する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験計画に若干の遅延が生じたために、当初の予想より2020年度の使用金額が少なくなってしまったため次年度使用額が生じた。遺伝子改変マウスの繁殖や生成 蛋白作成に関しては現時点で問題なく進捗しており、実験計画の遅延は解消できると思われる。本年度購入予定としては主として実験に際しての消耗品(リアル タイムPCRプローブ、RNA抽出キット、各種抗体など)である。
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