研究課題/領域番号 |
20K08446
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
吉田 和道 京都大学, 医学研究科, 准教授 (90598921)
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研究分担者 |
南 学 京都大学, 医学研究科, 准教授 (90511907)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 動脈硬化 / 放射線障害 / 動物モデル / ApoEノックアウトマウス / DNA障害 / 細胞老化 / SASP |
研究実績の概要 |
【目的】本研究の目的は、放射線照射後vasculopathyの予防治療法を確立することを最終的な目標に、放射線照射後の動脈硬化促進機序を明らかにすることである。さらに、放射線照射後に特異的な不安定プラークのマーカーを探索し、それを標的とした薬物治療の実現を目指す。 【研究計画】研究計画として、当初以下のような年度ごとの計画を立てた。2020年度:放射線照射後の動脈硬化促進動物モデル作成 2021年度:放射線照射群・非照射群での動脈硬化性プラークの組織学的相違の検証 2022年度:放射線照射後不安定プラークの特異的マーカーの同定と標的薬剤の検索 【2021年度の研究進捗】これまでの研究で確立した動物モデルを利用して、本年度は、Senescence-associated secretary phenotype (SASP) と呼ばれる、DNA損傷反応を介した老化細胞による炎症性反応に着目し、動脈硬化進行の機序解明を更に進めた。放射線照射後のプラークではDNA損傷反応が遷延し、細胞老化の特徴であるサイクリン依存性キナーゼ阻害タンパク質の発現上昇が認められ、炎症関連遺伝子の発現は上昇していた。これらはSASPの仮説を支持する結果であり、放射線照射後の頚動脈プラーク形成におけるSASPの可能性を示唆した。これまでの成果を論文化し、公表した。(Irradiation Accelerates Plaque Formation and Cellular Senescence in Flow-Altered Carotid Arteries of Apolipoprotein E Knock-Out Mice. J Am Heart Assoc. 2021 Jul 20;10(14):e020712.)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
放射線照射後の動脈硬化促進動物モデル作成と、それを用いた動脈硬化促進機序解明の結果、細胞老化に伴うSenescence-associated secretary phenotype (SASP)によって生じることを明らかにした。ほぼ、当初予定通りに研究が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度の研究では、放射線照射後の動脈硬化促進が細胞老化に伴うSenescence-associated secretary phenotype (SASP)によって生じるというこれまでの成果に基づき、種々の疾患に対する新規治療薬候補として同定されている抗細胞老化薬(senolytics)の中から放射線治療後動脈硬化促進の抑制効果を有する薬剤をin vitroの実験で選別する。その後、候補薬剤の治療効果をモデルマウスを用いて検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
予想以上に動物モデル作成が順調に進んだため。
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