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2022 年度 実施状況報告書

成人先天性心疾患症例における心外膜電気生理学的マッピングによる予後予測因子の検討

研究課題

研究課題/領域番号 20K08447
研究機関独立行政法人国立病院機構岡山医療センター(臨床研究部)

研究代表者

渡邊 敦之  独立行政法人国立病院機構岡山医療センター(臨床研究部), 独立行政法人国立病院機構 岡山医療センター(臨床研究部), 循環器内科医長 (50766441)

研究分担者 森田 宏  岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (50322227)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
キーワード心臓突然死 / 不整脈 / 成人先天性心疾患 / 心外膜マッピング / スコアリング化 / 予後予測
研究実績の概要

成人先天性心疾患(以下、Adult congenital heart disease:ACHD )症例では、成人期の手術後に血行動態変化や身体的ストレスに伴い重症不整脈による重篤な心血管イベント(Major adverse cardiac event: MACE)を生じる症例が多いが、現時点では発症予測が困難である。我々は心電図の新しい指標であるQRS波形の分裂電位(分裂性QRS電位)に注目し、各種心疾患における心事故発生リスクを報告してきた。2014年に岡山大学循環器内科が中心となりACHDセンターを設立し、各科の専門医と協力し、集学的治療を行っている。センター設立後は、成人期に弁形態変化や心不全のため再手術が必要となる複雑症例の割合が多くなり、より重症度の予測が必要となった。岡山大学心臓血管外科は、約30年前より世界有数の小児先天性心疾患治療(年間200例以上)の実績があり、現在は年々成人例になるACHD症例が急速に増加している。ACHD症例に対する開胸手術を施行している施設は国内でも数施設しかない。その際に心外膜の電気生理学的マッピングを施行し、術中の異常所見とその他の非侵襲的指標と組み合わせることでSCDのより正確な予後予測を確立することは、世界では例がなく、岡山大学独自の取り組みであると考える。また、研究結果によって、他の術後症例へのフィードバックも可能になると思われる。また、現在勤務している岡山医療センターは、世界有数の肺高血圧症に対する治療施設であり、症例も国内のみならず海外からも集まっている。肺高血圧症に対する予後予測因子も電気生理学的に確立したものはほとんどなく、非侵襲的な予測因子のニーズは高い。また、慢性血栓性肺塞栓症に対して肺動脈血栓内膜摘除術も行っており、心外膜マッピングを行うことは可能であり、今後、研究課題へ取り組む予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

研究が遅れている原因として、いくつかの要素が重なってしまった。
1,研究者の2020年4月に異動である。異動決定が急であったため、事前の患者共有システムが構築できていなかった。そのため各施設間の倫理委員会の手続き等もあり事務手続きに時間を要している。
2,コロナ禍である。入院症例の抑制及び病院間の医師の移動も困難となり、一時期、情報取集が不可能な状態に陥った。
3,適応症例のデータベース構築が初年度の最大の目標で、そこから心電図等の資料を集積し、デジタル化しPQ,QRS,QT,RR,またfragmented QRS等のそれぞれの指標を解析予定であったが、上記1,2のため予想以上に時間を要している。加えて、15年以上前の症例で紙媒体でのカルテからの集積作業となるため、解析困難症例が存在する
4,2022年からの個人情報保護法の改正があり、当院でも個々の症例からの同意取得が必要となり、同意取得に時間労力を要した。

今後の研究の推進方策

対象患者の練り直しを行っている。
理由として、コロナ禍は収束傾向だが、いまだ病院間の往来にも支障があること、また、個人情報保護法の問題もあり、対象症例の各病院間の取り扱いに違いが生じ、他病院からのデータ集積がより困難になっていることがあげられる。また、マッピングにより、手術時間の延長に繋がり外科医や患者への負担がかかることがあげられる。そのため、推進方策としては、主たる対象症例を当院での肺高血圧症例に変更することが、データ抽出、解析の観点からも現実的であると考える。当院、岡山医療センターは世界有数の肺高血圧症治療実績を有する組織であることより、今後はACHDに加え、肺高血圧症例においても予後予測を検討する。また、当院は、慢性血栓性肺塞栓症に対して肺動脈血栓内膜摘除術を行う、国内でも非常に稀な施設であり、該当症例の心電図指標及び心外膜マッピングを行い、スコアリング化も検討することとする。また、各指標からAIを用いて予後予測解析することを検討している。

次年度使用額が生じた理由

AI技術の急速な進歩により対応する高機能パソコンやソフトの選定に時間を要し、最適な解析機器の購入を見送った。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2024 2023 2022

すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 5件)

  • [雑誌論文] Clinical Management of Brugada Syndrome: Commentary From the Experts2024

    • 著者名/発表者名
      Cutler Michael J.、Eckhardt Lee L.、Watanabe Atsuyuki、Wilde Arthur A.M. et al
    • 雑誌名

      Circulation: Arrhythmia and Electrophysiology

      巻: 17 ページ: 52-66

    • DOI

      10.1161/circep.123.012072

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Prevalence and Treatment of Arrhythmias in Patients With Transthyretin and Light-Chain Cardiac Amyloidosis2023

    • 著者名/発表者名
      Miyamoto Masakazu、Nakamura Kazufumi、Nakagawa Koji、Nishii Nobuhiro、Kawada Satoshi、Ueoka Akira、Asada Saori、Watanabe Atsuyuki、Morita Hiroshi、Ito Hiroshi
    • 雑誌名

      Circulation Reports

      巻: 5 ページ: 298~305

    • DOI

      10.1253/circrep.cr-23-0022

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Repeated Syncope During Exercise as a Result of Anomalous Origin of Left Coronary Artery With Intramural Aortic Course in a Teenage Boy2022

    • 著者名/発表者名
      Amioka Naofumi、Nakamura Kazufumi、Matsuo Naoaki、Watanabe Atsuyuki、Kotani Yasuhiro、Kasahara Shingo、Ito Hiroshi
    • 雑誌名

      Texas Heart Institute Journal

      巻: 49 ページ: e217677.

    • DOI

      10.14503/THIJ-21-7677

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Targeted deep sequencing analyses of long QT syndrome in a Japanese population2022

    • 著者名/発表者名
      Nagata Yuki、Watanabe Ryo、Watanabe Atsuyuki et al
    • 雑誌名

      PLOS ONE

      巻: 17 ページ: e0277242

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0277242

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Inappropriate sinus tachycardiaの治療戦略2022

    • 著者名/発表者名
      渡邊敦之
    • 学会等名
      第29回中国四国不整脈研究会
  • [学会発表] 不整脈・心不全治療 -これからの高齢化社会に備えて-2022

    • 著者名/発表者名
      渡邊敦之
    • 学会等名
      御津医師会学術講演会
    • 招待講演
  • [学会発表] ハイリスク症例に対するカテーテルアブレーション-周術期抗凝固療法も含めて-2022

    • 著者名/発表者名
      渡邊敦之
    • 学会等名
      Meet the Expert~ Sharing experience by Virtual Reality ~
    • 招待講演
  • [学会発表] 「基礎疾患を伴う不整脈アブレーション」2022

    • 著者名/発表者名
      渡邊敦之
    • 学会等名
      Kagawa Catheter Ablation Seminar 2022
    • 招待講演
  • [学会発表] 高齢化社会の循環器疾患を考える~不整脈・心不全~2022

    • 著者名/発表者名
      渡邊敦之
    • 学会等名
      玉島医師会学術講演会
    • 招待講演
  • [学会発表] 「不整脈から考える心不全治療~新薬への期待も含めて~」2022

    • 著者名/発表者名
      渡邊敦之
    • 学会等名
      茨城病診連携セミナー~これからの循環器医療を考える会~
    • 招待講演

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公開日: 2024-12-25  

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